タイトル | 宮城県沿岸域における適正カキ養殖量の推定 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 東北区水産研究所 |
研究期間 | 2013~2015 |
研究担当者 |
奥村裕 縄田暁 太田裕達 伊藤博 |
発行年度 | 2016 |
要約 | 石巻湾において、カキなどの餌となる植物プランクトン量とろ水量の収支から適正養殖量を推定した。植物プランクトン量は夏以降減少するのに対し、カキなどのろ水量は成長と水温上昇により逆に増加した。そのため、特に、夏以降餌料不足になりやすいと考えられた。餌量とろ水量の収支計算より、餌不足とならない適正養殖量は筏数約670台(350連/筏、35原盤/連、カキ15個/原盤)と推定した。 |
背景・ねらい | 宮城県沿岸域は以前から貝類や海藻類などの無給餌養殖が盛んであり、水産業の震災復興にはこれらの生産回復が欠かせない。宮城県内のカキ生産量(殻付き)は、震災前(4万~6万トン)に比べ、半分程度となっており震災前の状態まで回復していない。また、今後復旧が進んだ場合、逆に過密状態になることも考えられる。そこで、震災後(平成25~平成27年)に調査を行い、漁場環境に見合った適正なカキ養殖量を概算することで、カキ養殖業の効率的な復旧と密殖の防止を目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 養殖漁場である荻浜における平成25年のクロロフィルa(Chl. a)量は2~5月に多く、例年通り、この時期にブルームが起こっていた(図1)。5月以降、小さなピークは見られるが、Chl. a量はブルーム時期に比べ少なかった。マガキは冬~春にかけ徐々に成長し、水温上昇と共に急激に成長し、その後、産卵により体重が減少した。ろ水量も水温上昇に伴い急激に増大した。夏~冬のChl. a量が他の年に比べ少なかった平成25年を例に計算したところ、漁場内の総餌量から貝類などによるろ水量を差し引いた余剰分は6月以降急激に減少することが明らかになった(図2)。筏数447台、350連/筏、35原盤/連、カキ15個/原盤とした現状の養殖筏数だと餌であるプランクトン量は十分に足りていた。筏数を現状の1.5倍(670台)とすると7月に餌量は0近くなった。一方、筏数を現在の2倍にすると7~8月に餌不足となった。そのため、適正な筏数は、現状の1.5倍(670台)程度と推察した。 |
成果の活用面・留意点 | 無給餌養殖は震災後徐々に回復しつつあるが、餌料環境は震災前と異なる。このため、漁業者に対して、震災後におけるカキ養殖漁場の適正な利用を提案するための基礎的な知見として活用している。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6133&YEAR=2016 |
カテゴリ | かき |