太平洋クロマグロ資源評価と将来予測のモデル改良による不確実性の低減

タイトル 太平洋クロマグロ資源評価と将来予測のモデル改良による不確実性の低減
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 国際水産資源研究所
研究期間 2016~2020
研究担当者 福田漠生
秋田鉄也
境 磨
鈴木伸明
発行年度 2016
要約 太平洋クロマグロの資源評価に用いられる資源量指数などの入力データと個体群動態モデルの両方を改善することにより、資源量推定の不確実性を低減させた。また、将来予測プログラムを、加入水準や再生産関係(親子関係)を柔軟に設定できるよう改良し、様々な管理シナリオの検討を可能とした。これらの結果、ISCにおける最新(2016年)の資源評価やWCPFCにおける資源管理の議論に貢献している。
背景・ねらい 太平洋クロマグロ(以下、クロマグロ)の資源評価は近年の資源水準の低さに対する懸念から関心を集めており、その資源量推定の信頼性の向上と将来予測の詳細な検討は重要な課題である。特に2016年は北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)において資源評価作業が実施され、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)では、この結果を元に資源管理についての議論が行われた。これまでの資源評価では、1)モデル内で相互に矛盾する情報を持つデータがあること、2)サイズ組成や資源量指数などの入力データに対するモデル予測値の当てはまりが悪いこと、3)成長式に改善の余地があること、などの問題があり、更新作業での改善が求められていた。また将来予測では、想定される様々な加入水準や漁獲シナリオを柔軟に設定できるよう、モデルの改善が望まれていた。
成果の内容・特徴 資源評価モデルの設定および入力データを再検討し、1)サイズ組成と資源量指数の推定方法を改善し、データ間の重み付けを精査することなどにより、特に資源評価上重要な二つの高齢魚の資源量指数(日本と台湾のはえ縄CPUE)間にあった情報の矛盾を解消した。2)データ自体の改善に加え、モデルが年齢別漁獲尾数を推定する際に必要な選択率の推定方法を改善し(図1)、観測データへのモデル予測値の当てはまりを資源量指数(図2)とサイズ組成(図3)それぞれにおいて改善した。3)年齢査定技術を改善するとともに、日齢査定による0才魚の成長も加味した成長式を与え、より現実に近い成長をモデル内に再現した。感度分析等の診断の結果、今回の資源評価モデルは観測データとモデル予測の当てはまりが良く、資源水準の推定に関してモデルの仮定やデータ間の矛盾が小さいことが確認されたことから、ISCは大きなモデル改善を達成したと評価した。 

また将来予測モデルを改良し、将来の加入量の仮定について、A)過去の加入量推定値から任意の年と同水準の加入量を与える、B)様々な親子関係の仮定に基づいて将来の加入量を予測する、というオプションをプログラムに組み込み、柔軟な設定を可能とした(図4)。
成果の活用面・留意点 得られた成果はISCでの資源評価で活用され、WCPFCで資源管理の議論に貢献し、国内での資源管理に反映されている。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6189&YEAR=2016
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