タイトル | ギンザケの赤血球封入体症候群(EIBS)に対する抗体検査法の開発 |
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担当機関 | 宮城県水産技術総合センター |
研究期間 | 2013~2016 |
研究担当者 |
縄田暁 熊谷明 坂井貴光 高野倫一 松山知正 伊東尚史 栗田潤 中易千早 |
発行年度 | 2016 |
要約 | EIBS感染履歴の簡易診断法として開発したELISA法は,内水面養魚場のギンザケについても感染履歴魚を検出することができ有用性を評価できた。抗体陽性魚はEIBS発生1ヶ月後からみられるようになり,陽性率が高い時期はEIBS収束後1ヶ月以内であった。種苗を内水面養魚場から海面に移す前に検査可能で,事前に種苗ごとの抗体の有無が判明することにより被害軽減のための予防策を取ることが可能となる。 |
背景・ねらい | EIBSはギンザケ養殖で被害の大きいウイルス性疾病である。感染履歴のある魚は再発する可能性は少ないが,キャリアであるため,感染履歴のない魚と混養すると感染源になり得る。したがって,感染履歴の有無が海面養殖後の被害率に大きく影響する。増養殖研究所病害防除部が開発したELISAによる感染履歴検査法の有効性を実証するため,ギンザケ飼育魚の血液を定期的に採集し,抗体陽性率の推移とEIBS発生の有無を調査した。 |
成果の内容・特徴 | 1 1内水面養魚場のギンザケ飼育魚について,EIBS発生前から海面飼育6ヶ月後まで定期的に毎回20尾ずつ血液を採取し,ELISA抗体を測定した。抗体陽性魚はEIBS発生2週間後からみられるようになり,疾病収束直後は陽性率が100%になった。海面養殖移行後にも陽性率は10~25%であった(図1)。抗体履歴の検査時期は内水面養魚場において死亡が収束してから1ヶ月以内が適していると考えられた。 2 4内水面養魚場の飼育魚について,EIBS収束直後(8月)と海面養殖移行直前(11月)に抗体検査を実施した結果,2回の検査ともにすべてのロットで抗体陽性魚が検出された。さらに,海面養殖中にこれらのロットではEIBSが発生しなかった(表1)。検査で抗体有りと判定された魚群は、海面養殖期中のEIBS再発を防ぐ充分な量の抗体を保有していたと考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 多くの海面養殖生簀では,複数の内水面養殖場の種苗を混養するため、抗体のある魚と抗体のない魚が混ざるとEIBSが発生してしまうが,事前に種苗ごとの抗体の有無が判明することにより、被害軽減のための予防策(生簀を別にしたり、給餌量を制限するなど)を取ることが可能となる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6131&YEAR=2016 |
カテゴリ | 病害虫 簡易診断 防除 |