タイトル | 自然環境調和機能を有する寒冷地沿岸施設の維持・管理手法に関する研究 |
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担当機関 | 国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
三上信雄 牧田佳巳 佐藤仁 三森繁昭 大橋正臣 梶原瑠美子 |
発行年度 | 2016 |
要約 | 港湾・漁港の自然調和型構造物における藻場創出機能の低下に対する対策を目的に、原因、対策の検討を行うとともに、実証試験を実施した。対象施設は寿都漁港の背後小段付傾斜堤である。現地調査を実施し藻場環境の阻害要因となる物理環境、植食動物分布を把握した。また、既設構造物の改良(根固方塊設置)による実証試験により、改良工事の嵩上げ箇所で藻場創出機能回復を確認した。 |
背景・ねらい | 静穏域確保等を目的として整備された港湾・漁港施設等の沿岸構造物は、魚礁および産卵礁の機能とともに、海藻の着生基質として藻場創出の機能がある。北海道内では10年以上前から防波堤や護岸等に藻場創出機能を付加した自然環境調和型沿岸構造物が整備されてきた。しかし、近年の海水温の上昇等の環境変化によって、当初期待された環境調和機能が低下する事態が増加している。本研究は磯焼け対策への有効性の観点から藻場創出機能に着目し、同機能の適切な保全に向けた維持管理技術の開発を行うものである。 |
成果の内容・特徴 | 背後小段上のホソメコンブはその年の冬期水温に強く依存しており年変動が大きい。また、ホソメコンブの現存量は水温約5 ℃を境として低水温ほど大きい傾向である。背後小段上はキタムラサキウニが高密度に生息し、冬期の高水温により休眠状態であるはずのキタムラサキウニの摂餌が活発となることから、海藻の幼芽・生長期に悪影響を与えているものと推察された。ウニの食害を抑止する対策として背後小段の天端を嵩上げする流動環境改変が挙げられる。嵩上げを実施した水深帯付近は、既設背後小段天端に比べて振動流速が大きくなり、嵩上げ部へのキタムラサキウニの侵入が抑制される。対策は図1に示すように背後小段上に方塊ブロックを設置するものである。改良により海藻(生長初期)の発現は改良したものが良く、本海域の対策方法として適切であったことが確認された(図2)。これらの知見を基に藻場に関する構造物の診断方法も提案した。 |
成果の活用面・留意点 | 本対策方法は特にホソメコンブとキタムラサキウニの関係に特化した調査研究であるが、本種が優占する海域だけでなく詳細調査により応用可能な技術であると考える。また、水温や波浪場は年変動があるため、対策方法の検討には長期的なデータやモニタリングの継続が不可欠であると考える。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6103&YEAR=2016 |
カテゴリ | 管理技術 モニタリング |