タイトル | 下痢性貝毒の認証標準物質開発 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 中央水産研究所 |
研究期間 | 2014~2016 |
研究担当者 |
鈴木敏之 及川寛 松嶋良次 渡邊龍一 内田肇 今村伸太朗 石原賢司 |
発行年度 | 2016 |
要約 | 下痢性貝毒では2015年3月に検査法として機器分析が認められたことから、分析に用いる認証標準物質の供給が急務となっていた。そこで、中央水産研究所で下痢性貝毒を産生する微細藻を大量培養し、そこから下痢性貝毒成分であるオカダ酸およびDTX1を精製した。次に産業技術総合研究所でその濃度を決定し国内で初めてとなるオカダ酸およびDTX1の認証標準物質を開発し2016年4月に供給を開始した。 |
背景・ねらい | これまで下痢性貝毒の検査法としてマウスバイオアッセイが行われてきたが、昨年3月に検査法として機器分析法が認められた。機器分析による検査には濃度が既知の認証標準物質が必要であるが、これまで標準物質は海外からの輸入製品に限られていた。下痢性貝毒の検査法は世界的にも機器分析が主流となってきたことから標準物質の需要は高まっており、その安定供給が課題と考えられた。そこで、下痢性貝毒の認証標準物質の需要に応えるため、国内での初めて下痢性貝毒成分であるオカダ酸とDTX1の認証標準物質の製造に取り組んだ。 |
成果の内容・特徴 | 下痢性貝毒成分を産生する微細藻類Prorocentrum limaを100 L規模で大量培養し、得られた藻体をオカダ酸およびDTX1の精製原料とした。精製原料の藻体はメタノールで抽出後、液-液分配、カラムクロマトグラフィー、HPLCに供し、オカダ酸とDTX1を単離・精製した。精製したオカダ酸とDTX1は、産業技術研究所において定量NMR法により濃度を決定し、標準物質生産の手順であるISOガイド34に基づき標準物質として製造し、それぞれ1 mLの容量でガラスアンプルに分注したのち製品として供給した。これまで下痢性貝毒の標準物質は輸入品に頼ってきたが、本成果により国内製造品を安定供給することが可能となった。 |
成果の活用面・留意点 | 供給したオカダ酸およびDTX1の標準物質は全国の検査機関等ですでに使用されている。これにより下痢性貝毒の検査法として機器分析の導入が進み、マウスアッセイに比べて下痢性貝毒のリスクが正確に評価されることで,ホタテガイ等の出荷自粛期間が短縮されると期待できる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6124&YEAR=2016 |
カテゴリ | 出荷調整 |