クロコと黄ウナギにおけるえぐれ構造の隠れ場の選択性

タイトル クロコと黄ウナギにおけるえぐれ構造の隠れ場の選択性
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 中央水産研究所
研究期間 2013~2017
研究担当者 松田圭史
中村智幸
発行年度 2016
要約 河川等でウナギの隠れ場となるえぐれ構造の隠れ場(以後,えぐれと記す)を,コンクリートブロックで模倣し,入口の幅,入口の高さ,奥行きの長さ,奥行きの角度を変化させ,クロコ(ウナギの幼魚)と黄ウナギ(成長して体が黄色味をおびた状態)の好む条件を調べた。どちらも入口の幅に選択性は認められなかったが,入口の高さは60mm,奥行きの長さは400mm,奥行き角度は広がる形状の75°を選択した。
背景・ねらい ニホンウナギ(以後,ウナギと記す)の生息には好適な隠れ場の存在が重要であるが,その物理的条件に関する知見は乏しい。隠れ場に対するウナギの選択性を知ることで,河川工事等に際して漁業関係者や河川管理者が科学的知見に基づいて,ウナギの好適な隠れ場を保全,または造成できる。そこで,クロコと黄ウナギにとって,好適なえぐれの物理的条件を調べた。 
成果の内容・特徴 水槽内にコンクリートブロックでえぐれを作製した(図. 1)。試験ごとのえぐれ条件は以下の通りであった。試験1:入口の幅を変化(100 mm,200 mm,400 mm:高さ60 mm),試験2:入口の高さを変化(60 mm,120 mm,240 mm),試験3:奥行きの長さを変化(100 mm,200 mm,400 mm:高さ60 mm),試験4:奥行きの角度を変化(30°,75°,90°:高さ60 mm)。試験にはクロコ60尾(平均全長,平均体重:132mm,2.3g)と黄ウナギ20尾(218mm, 9.6 g)を用いた。各試験では1回の試行ごとに5尾ずつ供試魚を入れ,3時間後に確認した時,隠れていた供試魚数でえぐれの選択性を評価した。両者で入口の幅に選択性は認められなかったが,入口の高さは試験の中で最も低い60 mm,奥行きは試験の中で最も長い400 mm,奥行きの角度は広がる形状である75°を選択した(図. 2, 3)。えぐれが低くまたは奥行きが長くなるほど,内部の照度は指数関数的に低下した。ウナギにとって好適なえぐれの基準として内部の形状だけでなく,照度もあると考えられた。 
成果の活用面・留意点 ウナギにとって好適なえぐれの条件として,入口の高さは60 mm以下,奥行きの長さは400 mm以上,奥行きの広がり角度はおよそ75°という指標が得られた。これらは河川等で天然のえぐれ(川岸下の空隙,アンダーカットバンク)の価値を評価する場合や,新たにえぐれを造成する場合の目安になると考えられるが,これらの条件の組み合わせによる効果の検証は今後の課題である。 
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6190&YEAR=2016
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