ニューラルネットワークモデルによるイアコーンサイレージのTDN含量の推定

タイトル ニューラルネットワークモデルによるイアコーンサイレージのTDN含量の推定
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2011~2016
研究担当者 多田慎吾
青木康浩
大下友子
発行年度 2016
要約 自給濃厚飼料として期待されるイアコーンサイレージのTDN含量は、ADLおよびデンプンの含量を説明変数としたとき、重回帰式では推定できないが、ニューラルネットワークモデルによる推定式で比較的高い精度で推定できる。
キーワード イアコーンサイレージ、可消化養分総量、酸性デタージェントリグニン、デンプン、ニューラルネットワークモデル
背景・ねらい 北海道を中心にトウモロコシ雌穂を収穫調製したイアコーンサイレージ(ECS)の利用が拡大しつつある。道内で収穫調製されたECSの可消化養分総量(TDN)含量はおおむね75~85%(乾物 (DM)中、以下同じ)との報告があるが、家畜への給与にあたってTDN含量を迅速かつ正確に推定することが必要であり、成分含量からの推定ができることが望ましい。ECSの場合、単一の成分とTDN含量との間に有意な相関が認められておらず、他の飼料での例のように低消化性成分と高消化性成分の複数の変数を用いた推定が有効な可能性がある。また、ECSのTDN含量と成分含量との間に有意な関係式が認められない理由として、変数間の関係が単純な直線や曲線で表されないことも考えられる。このような複雑な関係を比較的容易に表せる手法としてニューラルネットワークモデル(NNM)が挙げられる。以上から、ECS中の低消化性成分である酸性デタージェントリグニン(ADL)含量と、高消化性成分であるデンプン含量の2つの変数から、TDN含量を推定する線形の重回帰モデルと、NNMによる非線形モデルでの推定式を作成しその精度を比較する。
成果の内容・特徴
  1. 道内6地域で7年にわたり生産された品種や収穫時期が様々なECS計51試料のTDN含量(去勢成ヒツジによる全糞採取法で査定)は72.2~88.9%の範囲にあり、ADL含量とデンプン含量を説明変数とした重回帰モデルによる推定値との間の決定係数は0.09と低い(図1)。一方、NNMを適用すると決定係数は0.58と比較的高くなる(図2)。
  2. NNMから、デンプン含量が低い範囲(<約53%)ではADL含量が低いとき特にTDN含量の高い範囲がみられ、中程度(約53~56%)ではADL含量による変動は小さく、高い範囲(約56%<)ではADL含量が1.7%程度までの範囲ならばTDN含量は高い値を保つがそれより大きいとTDN含量が低いという非線形の関係があることが分かる(図3)。
  3. 作成したNNMによる推定式は以下のとおりである。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、今後、飼料分析サービスでECSの栄養価推定を行う際の基礎知見となる。
  2. 今回用いた成分含量の値は、全て北海道農業研究センターにて化学分析手法により測定した結果である。
  3. 今回のNNMによる推定式は最終的なものではなく、データの蓄積によって推定精度がさらに向上する可能性がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2016/harc16_s05.html
カテゴリ イアコーンサイレージ とうもろこし 品種

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