タイトル |
大果で収量性が高く、省力栽培が可能なイチゴ新品種、「恋みのり」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2008~2013 |
研究担当者 |
曽根一純
遠藤(飛川)みのり
沖村誠
北谷恵美
木村貴志
藤田敏郞
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発行年度 |
2016 |
要約 |
イチゴ「恋みのり」は促成栽培に適し、連続出蕾性に優れた多収品種である。冬期の草勢が強く草勢維持が容易で、大果で秀品率が高く、収穫・調製作業の省力化が可能である。果実硬度が高く、貯蔵に伴う黒ずみ果の発生が少なく、日持ち性に優れる。
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キーワード |
イチゴ、促成栽培、多収性、大果、省力化
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背景・ねらい |
近年のイチゴ栽培においては、1ha規模の高収益経営を目指した次世代型の生産システムの構築が進められている。そこで、冬期の草勢が強く草勢維持が容易で、連続出蕾性に優れ、収穫ピークの平準化が可能で収量性が高いこと、さらに大果で秀品率が高く、収穫・調製作業の省力化が可能な品種の開発が求められている。そこで、これら特性を有した促成栽培用品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- イチゴ「恋みのり」は、イチゴ久留米48号、「さつまおとめ」、「さがほのか」の多元交配から得た03042-08に、「熊研い548」を交雑した実生集団から選抜した一季成り性品種であり、促成栽培に適する。
- 草姿は立性で、冬期の草勢はかなり強く、果房伸長性に優れる。頂果房花数は「さがほのか」と同程度で摘花作業が軽減できる(表1)。
- 花芽分化期は、ポット育苗では9月中旬であり、促成栽培での開花始期は「さがほのか」よりも7日程度遅い。収穫開始期は「さがほのか」よりも11日程度遅いが、果房間葉数が少ないため連続出蕾性に優れ、収穫ピークの平準化が可能で2月末までの早期収量が多く、4月末までの全期収量も「さがほのか」よりもやや多収である(表1、2)。
- 果実は約18gと大果で、短円錐~円錐形、果皮色は淡赤~赤色で光沢がある。糖度、酸度ともに「さがほのか」よりもやや高く、香りが強く、食味は良好である。硬度は「さがほのか」よりも高く、貯蔵に伴う黒ずみ果の発生が少なく日持ち性に優れる(図1、表2)。また、果実の揃いに優れ秀品率が高いことから、収穫・調製作業の大幅な省力化が可能である(図1、表2、3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 促成栽培用品種として利用できる。大果で秀品率が高く、収穫・調製作業の省力化が可能であることから、大規模施設生産に適する。
- うどんこ病に対しては中程度の抵抗性を有するが、萎黄病および炭疽病に対しては罹病性であるため、健全な親株から増殖を行うとともに、育苗期を含め予防的な防除に努める。
- 過度の窒素飢餓状態により芽なし株が発生しやすいので、育苗から本圃定植後の栽培期間を含め、十分な草勢の確保ならびに肥効の維持に留意する。
- 草勢が強く連続出蕾性が強いため、果房を畝の中心部に配置する「内なり栽培」では畝幅が狭いと果房が重なり、収穫時の作業性が悪化しやすい。また、過繁茂により果実の着色不良を招きやすいため、十分な畝幅を確保する。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2016/karc16_s02.html
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カテゴリ |
病害虫
萎黄病
育苗
いちご
うどんこ病
経営管理
栽培技術
省力化
新品種
多収性
炭疽病
抵抗性
品種
防除
良食味
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