BSR1高発現イネは4種の重要病害に抵抗性を示す

タイトル BSR1高発現イネは4種の重要病害に抵抗性を示す
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2013~2017
研究担当者 前田哲
林長生
森昌樹
発行年度 2016
要約 イネ由来の病害抵抗性遺伝子BSR1を高発現するイネは、複数の白葉枯病菌レース、複数のいもち病菌レース、籾枯細菌病菌、ごま葉枯病菌の感染に対して抵抗性を示す。本研究成果は複合病害抵抗性イネを開発するための重要な知見となる。
キーワード イネ、いもち病抵抗性、ごま葉枯病抵抗性、籾枯細菌病抵抗性、白葉枯病抵抗性
背景・ねらい 糸状菌によるいもち病、ごま葉枯病、細菌による籾枯細菌病、白葉枯病はイネ(Oryza sativa L.)の重要病害である。我々はこれまでに、イネ由来の病害抵抗性遺伝子BSR1(BROAD-SPECTRUM RESISTANCE 1? 受容体様細胞内リン酸化酵素をコード)を高発現するイネは、原品種の「日本晴」に比べ、レースIの白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae pv. oryzae)、レース003.0のいもち病菌(Pyricularia oryzae)に抵抗性になることを報告している。本研究ではこのイネが、異なるレースの白葉枯病菌やいもち病菌の感染にも抵抗性を示すか、さらに、ごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)や籾枯細菌病菌(Burkholderia glumae)の感染にも抵抗性を示すのかどうかの検証を行い、BSR1高発現イネが広範な病害抵抗性を持つことを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. BSR1高発現イネは、新たに2種類のレース(レースII及びIII)の白葉枯病菌の感染に抵抗性を示す(図1)。これまでの成果と合わせると、このイネは計3種類のレースの白葉枯病菌に抵抗性を示す。ここで示された抵抗性は白葉枯病ほ場抵抗性強である「あそみのり」をしのぐ。
  2. BSR1高発現イネは、新たに1種類のレース(レース007.0)のいもち病菌の感染に抵抗性を示す(図2)。これまでの成果と合わせると、計2種類のレースのいもち病菌に抵抗性を示す。
  3. BSR1高発現イネは、籾枯細菌病菌の感染による苗立枯症に抵抗性を示す(表1 )。
  4. BSR1高発現イネは、ごま葉枯病菌の感染にも抵抗性を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. BSR1高発現イネは4種の重要病害、いもち病、ごま葉枯病、籾枯細菌病、白葉枯病、に対して抵抗性を示し、複合病害抵抗性イネを開発するための重要な遺伝子資源となる。
  2. ただしBSR1高発現イネには発芽率の低下も認められるので、実用化には発現レベルの最適化が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2016/nias16_s09.html
カテゴリ いもち病 ごま 抵抗性 病害抵抗性 品種

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