乗用管理機ブームスプレーヤのロールに起因するブーム上下振動の低減装置

タイトル 乗用管理機ブームスプレーヤのロールに起因するブーム上下振動の低減装置
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 水上智道
吉田隆延
田中庸之
宮原佳彦
伊藤達夫
稲田隆則
田中保雄
徳田宏紀
太田淳
森励輝
柴崎大樹
発行年度 2016
要約 乗用管理機搭載式ブームスプレーヤのロールによって生ずるブームの上下方向の振動を機械的に低減する装置。油・空圧技術を利用することで、センサ等を用いたフィードバック制御を利用する既存の緩衝機構に特有の制御遅れ等の影響を小さくできる。
キーワード ブームスプレーヤ、ロール、上下振動低減、油空圧技術
背景・ねらい 近年、農地の集約などによる経営規模拡大により、生産現場では大規模ほ場に対応した機械の大型化が進んでおり、乗用管理機搭載式ブームスプレーヤにおいても大型化が求められている。しかし、地表面に凹凸や傾斜がある場合、高速作業の際にブームが上下に激しく振動するため、ブーム先端が地面に衝突して破損する事故や、ブームの振動による農薬の不均一散布および目的外飛散による環境負荷が懸念されている。
そこで本研究では、農薬散布作業の高速化を可能にする乗用管理機搭載式ブームスプレーヤの開発を目指し、乗用管理機本体のロールによるブーム上下振動を低減する装置(以下、ロールダンパ)を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 乗用管理機搭載式ブームスプレーヤのロールダンパ(図1、表1)は、複動油圧シリンダ、バルブブロック、アキュムレータなどから構成される。
  2. ロールダンパは、油圧ホースおよびバルブブロックなどを介してアキュムレータ内の窒素ガスがロールとともに生じるブームの上下振動を吸収する。
  3. ロールダンパは、傾斜センサや加速度計など各種センサやそれらを制御するコントローラおよびアクチュエータなどを使用しないため、これらを使用した水平制御装置で問題となる制御遅れに起因する位相誤差による加振は生じない。
  4. ロールダンパのON/OFFは運転席のオペレータ手元のコントローラスイッチで行うことができる。また、斜面のほ場に対応するため、コントローラスイッチを用いて任意の水平方向の傾きに調整することも可能である。
  5. ロールダンパは、左右のブームの重量バランスを保つことで、ブームの上下振動を低減する装置である。このため、左右のブーム長さが異なる散布作業にはバランスがとれず、対応できないことから、安全性を考慮して、左右のブームが全開時のみ作動するよう制御している。
  6. 乗用管理機搭載式ブームスプレーヤ(表2)の片輪が障害物(高さ60 mm)を乗り越える走行条件(片輪乗り越し条件)で、ロールダンパを用いることによりブームの上下振動(全振幅)を、低速0.5m/sでは、約12%、高速1.0m/sでは約45%低減でき(図2)、高速散布時により低減効果が高まる。
成果の活用面・留意点
  1. ロールダンパのみでは、乗用管理機搭載式ブームスプレーヤの上下変位によるブームの上下振動を低減する効果は小さいため、別途対策が必要である。
  2. ロールダンパは既存の乗用管理機搭載式ブームスプレーヤに後付けすることは可能であるが、アキュムレータやバルブブロックの設置スペース、ブーム取付け位置とブーム回動構造の必要性などにより制限される場合が多く、後付け可能な機種は限られる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/iam/2016/iam16_s01.html
カテゴリ 病害虫 規模拡大 経営管理 農薬

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