温室効果ガス3成分同時分析計の改良

タイトル 温室効果ガス3成分同時分析計の改良
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2014~2016
研究担当者 須藤重人
山本昭範
発行年度 2016
要約 平成21年11月に特許登録された「大気ガスの測定方法及び装置」の成分分離技術と検出技術を基礎として、新たにキャピラリーカラムを追加し、ノイズレベルとキャリヤーガス流量の低減する技術の追加により、温室効果ガス三成分同時分析法を改良した。
キーワード 温室効果ガス、メタン、二酸化炭素、一酸化二窒素、同時分析
背景・ねらい 農地から発生する温室効果ガス、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)および一酸化二窒素(N2O)を高精度で同時に測定するために開発され、平成21年11月に特許登録された「大気ガスの測定方法及び装置」における分析法は、分析精度、感度ともに極めて良好であり、S/N比についても5倍以上を担保するなど、分析上の問題はない。しかし、キャリヤーガス総流量が200mL/min程度とやや多いため、7m3の窒素ボンベ1本を2週間程度で消費するなど、ランニングコストや安全管理の面で課題が残されていた。また、独立の温度調整のためにGC恒温槽を2台要することも改善課題である。
そこで、これらの課題解決のため、キャリヤーガス流量の低減とノイズレベルの低減、及び原特許ではヘリウムに限定していたキャリヤーガスについて、窒素あるいはアルゴンを使用した場合でも、3成分が高精度に検出できるようにする等の改良を行う。
成果の内容・特徴
  1. 本発明は、原特許をベースとして、TCD、FID、ECDの3検出器を使用したシステムである(図1)。従来法からの改善点の概要を表1に示す。
  2. キャリヤーガス純化に使用するフィルター類等の条件設定手法の確立により、ヘリウムだけでなく、窒素、アルゴンとも使用可能である。アルゴンの方が、窒素の場合よりN2Oの感度は1.5倍程度高いが、ランニングコストはやや高い。窒素であってもS/N比に問題はなく、温室効果ガス3成分が高精度に検出できる。高度に純化した窒素(またはアルゴン)キャリヤーガスによりTCDでCO2を検出する。少量のメタンを添加することにより、N2OのECDでの感度を高感度化できる(図2)。図2に大気試料1mLを注入した場合のクロマトグラムを示す。
  3. カラム充填剤を変更し、キャピラリーカラム(CP-PoraBOND Q)を併用して全体の流量を低下させることで、総キャリヤーガス流量を1/2程度に低減できる。
  4. UNIBEADS Cを充填した長さ50cmパックドカラムを、GCの注入口ユニットなどの副次的温度調整ハウジングに挿入することで、独立温度調節機能を簡易に実現でき、これにより、2台目のGCオーブンを省略できる。
  5. 多段のキャリヤーガス純化処理の結果、ノイズレベルが大幅(1/5程度)に低減し、電気伝導度の差がヘリウムにくらべて小さい(すなわち、相対感度が低い)アルゴン、窒素においてもCO2の定量分析が可能となった。
成果の活用面・留意点
  1. 現在、供給が難しくなりつつあるヘリウムを要さず、窒素あるいはアルゴンを使用できることで、キャリヤーガスを安定的に確保できる。
  2. 特定のメーカーに依存しない設計であり、分析ニーズにあわせた 機器構成の応用が可能。
  3. 分析速度、精度、ランニングコストのいずれの面においても、今後の温室効果ガス分析手法の主たる手法となることが期待される。
  4. 「ガス自動注入装置(特願2013-7611)」と組み合わせることで、自動化した同時分析手法となる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2016/niaes16_s07.html
カテゴリ 安全管理 コスト

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