レーザーセンサーで熱帯低気圧による豪雨の雨滴径の特性を解明

タイトル レーザーセンサーで熱帯低気圧による豪雨の雨滴径の特性を解明
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 南光 一樹
Susanne M. Moskalski
Raymond Torres
発行年度 2017
要約 土壌侵食の引き金となる雨滴の衝撃力をより高い精度で推定するため、レーザーセンサーで雨滴の直径と落下速度を同時に測定し、熱帯低気圧による豪雨では通常の降雨よりも雨滴が大きく、速度のばらつきも大きいことを明らかにしました。
背景・ねらい 近年、大型の熱帯低気圧(台風など)や局地的大雨により、かつて経験したことのないような激しい雨が降るようになりました。このような極端な豪雨は、林地の土砂流出の新たなリスクとなる可能性があります。 そこで、土壌侵食の引き金となる雨滴の衝撃力に着目し、レーザー雨滴計で熱帯低気圧による豪雨において雨滴の直径と落下速度の分布を調べました。その結果、熱帯低気圧による豪雨では通常の降雨よりも雨滴が大きく、速度のばらつきも大きいことを明らかにしました。熱帯低気圧による豪雨について雨滴の大きさと落下速度の分布を計測した事例は世界的にも少なく、雨滴の衝撃エネルギーを精確に評価するための貴重な成果といえます。
成果の内容・特徴 雨滴の地面への衝突が土壌侵食を引き起こす
森林の地面をおおう落葉や下草は、雨滴の衝撃から土壌表面を保護するとともに、表面流による土壌の流亡を抑えています。しかし、間伐などの管理が十分に行われない森林では、樹木が過密になり下草が消え深刻な土壌侵食が起きているケースも報告されています。また、大型台風や局地的大雨など、今までにない激しい雨が増え、このような極端な豪雨は林地の土砂流出の新たなリスク になる可能性があります。そこで、土壌侵食の引き金と なる雨滴の衝撃に着目し、雨滴の大きさと落下速度を同時に測定できる装置を用いて、通常の降雨と熱帯低気圧 による豪雨における雨の降り方を比べました。

通常の降雨と豪雨とで異なる雨滴の大きさ・落下速度・衝撃エネルギー
雨滴の衝撃エネルギーの推定には、降雨強度と雨滴径、雨滴径と落下速度の二つの関係式を用います。この研究では、レーザー雨滴計(図1)を用いて、熱帯低気圧による豪雨時の雨滴の大きさと落下速度を調べました。その結果、熱帯低気圧の豪雨では、強風の影響により雨滴の大きさが様々に変化するため、通常の降雨よりも雨滴の平均的なサイズが大きく、落下速度も広い範囲に分布することが分かりました(図2)。これは、現在得られる予測では衝撃エネルギーが過小評価されていることを意味します。熱帯低気圧による豪雨において雨滴の大きさと落下速度の分布を計測した事例は世界的にも少なく、雨滴の衝撃エネルギーを高い精度で推定する貴重な成果 が得られました。

林地の土砂流出を推定するために
今後、温暖化の進行により大雨が増加することが予測 されています。その意味で、極端な豪雨による林地の土砂流出の防止は将来的な気候変動への適応という点でも重要な課題の一つです。この研究で得られた成果をもとに、今後も雨滴に関する実測データを積み重ね、林地の土壌侵食リスクの評価に活かしていきます。
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2017/documents/p4-5.pdf
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