木の樹冠に付着する雪の重さを推定する

タイトル 木の樹冠に付着する雪の重さを推定する
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 勝島 隆史
南光 一樹
鈴木 覚
竹内 由香里
村上 茂樹
発行年度 2017
要約 大雪による樹木の幹折れや根返りなどの冠雪害の発生リスクを評価するために、気象データから冠雪の重量を推定する新しいモデルを開発しました。
背景・ねらい 大雪により、樹木の幹折れや根返りなどの冠雪害が発生します。被害発生の予測には、樹冠に付着する雪の重さ(以下、冠雪重量)と、それに対する樹木の力学的抵抗性の評価が必要です。抵抗性は構造力学を応用して評価できますが、冠雪重量については、気象条件などとの関係が詳しく分かっておらず、これまで精度の良い推定はできませんでした。そこで、樹冠全体の冠雪重量の測定データに基づいて、気象データから冠雪重量を推定する新しいモデルを開発しました。このモデルを活用して、過去の冠雪状況の解析による冠雪害の発生メカニズムの解明や、冠雪害の危険地域の抽出による多雪地域での林業経営のリスク管理につなげます。
成果の内容・特徴 大雪による樹木の冠雪害の被害
異常な大雪は、樹木の幹折れや根返りなどの冠雪害を引き起こします。特に昭和55年12月から昭和56年3月にかけての昭和56年豪雪は、北陸を中心として数百億円に及ぶ甚大な林業被害をもたらしました。また、日本海側の豪雪地域のみならず、普段は雪の少ない太平洋側でも 冠雪害は発生しています。近年では平成26年豪雪により、関東地方を中心に大きな被害が発生しました。

冠雪害の発生リスク評価
 冠雪害の発生リスクを地域や林分ごとに量的に示せれば、林業経営において施業方法などを選択する際の判断 材料の一つにすることができます。冠雪害は、樹冠に付着した雪の重さが、幹や根、枝の強度を上回った時に発 生します。そのため、冠雪害のリスク評価には、冠雪重量と、それに対する樹木の力学的な抵抗性を評価する必要があります。抵抗性については構造力学を樹木の変形や破壊に応用した計算により評価できます。一方、冠雪重量については、どのような気象条件の時に、どれだけの雪が樹冠に付着するか詳細に分かっておらず、これまで精度の良い評価はできませんでした。

気象データから冠雪重量を推定する
根元で伐ったスギを直立した状態で野外の重量計に載せ、冬の間の冠雪重量の変化を測定しました(図1)。その結果、風の弱い夜間に冠雪が成長し、強風や日中の日射により冠雪が落下することが分かりました(図2)。冠雪重量の時間変化と、降雪水量、気温、日射量、風速な どの気象条件との関係を解析し、気象データから冠雪重量を推定する新たなモデルを開発しました。このモデルにより、スギの樹冠に付着する冠雪の重量を精度良く推定できるようになりました(図3)。  様々な地域への適用可能性を検討した上で、このモデルを活用すれば、例えば過去の冠雪害が発生した場所の冠雪の状態を、当時の気象データから遡って解析できるようになり、これまで詳細に分かっていなかった冠雪害 の発生メカニズムの解明につながります。また、過去の冠雪重量の地域的な分布を解析し、冠雪害の発生する危険度の高い地域を抽出できれば、降雪地域の林業経営のリスク管理に活用できます。

研究資金と課題
本研究は、森林総合研究所所内委託プロジェクト「森林気象害のリスク評価手法に関する研究」による成果です。
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2017/documents/p8-9.pdf
カテゴリ 経営管理 抵抗性

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