| タイトル | 木材中のリグニンを迅速に精度よく分析する画期的な手法を開発 |
|---|---|
| 担当機関 | (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
山田 竜彦 山田 肇 山下 香菜 |
| 発行年度 | 2017 |
| 要約 | 木質バイオマスの利用には木材を構成する成分の量を把握することが必要不可欠です。木材の代表的な成分でありながら、分析が煩雑であったリグニンの量を迅速に測定する新手法を開発しました。 |
| 背景・ねらい | 木質バイオマスの有効利用のためには、木材を構成する成分の量を把握する必要があります。しかし、木材の代表的な成分であるリグニンの従来の分析法には、薬品の取扱が煩雑で、手間と時間を要し、処理で きるサンプル数も少ないという欠点がありました。そこで我々は、一度に多数のサンプルに対応できる安 全で精度の高い分析法の開発に取り組みました。そして、木材全体を溶かす薬剤を導入した新しい迅速分析法を開発しました。処理は汎用の試験管内で行うので100を超えるようなサンプル数に一度に対応する ことができます。この手法は、既存の迅速分析法よりも精度に優れ、今後、リグニン分析の国際的な標準分析法としての展開が期待されます。 |
| 成果の内容・特徴 | 木材は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという化合物の集合体で、例えば、スギ材であれば、約45%のセルロース、約20%のヘミセルロース、約30%のリグニンからなるとされています(図1)。しかし、これらは平均的な値で、個別の木材では、ばらつきがあります。木材の成分を利用するためには木材を構成する化合物を迅速かつ正確に把握する定量分析が重要です。木材成分の中で、セルロースやヘミセルロースは糖から構成される化合物です。一方、リグニンは糖とは大きく異なる構造のベンゼン環を持つ化合物で、糖類とは性質が大きく異なるため、その量を把握することが、木質バイオマスの有効な利用のために不可欠です。 リグニンの定量法で最も信頼性が高い手法に「クラーソン法」があります。これは、スウェーデンのクラーソン博士により20世紀初頭に開発された分析法で、木粉に濃硫酸を作用させて木材中の糖成分を除去し、残ったものを秤量する手法です。「リグニンは糖ではない」という特性に基づいた定量法で、リグニン量の基準値を示す標準的な手法です。しかし、濃硫酸を用いる処理に危険が伴い、また作業が煩雑で数をこなせないという難点があります。これまでにも、クラーソン法の値に近く、かつ多数のサンプルに対応可能な簡易分析法が模索されてきました。そのうち最も汎用されるものに「アセチルブロマイド法」がありますが、これは、木粉を臭化アセチルの酢酸溶液で分解し、溶け出したリグニン量を紫外線(UV)吸光度で換算する手法です。多数のサンプルに応用できますが、薬品の臭気や安全性、データの精度に問題がありました。 私たちは、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPH)という化合物に注目して、分析法を検討しました。TBPHはイオン液体とよばれる化合物の一種で、匂いもなく取り扱いやすい液体で、木材を溶解する液体として知られています。分析には、蓋付きの試験管に入れた木粉にTBPHを加え、圧力釜内で加熱します(図2)。その後、濾過、中和を経て、UV吸光度を測定するだけでリグニン量が算出されます。処理が試験管内で完結するため100を超えるようなサンプルも一度に取り扱うことができます。図3に示すように、TBPH法はアセチルブロマ イド法と比較して基準となるクラーソン法の値に近い高精度な分析結果を示しました。簡易分析法で、これほどまで高い精度を示す手法はこれまでにみられないもので、その簡易性、安全性から今後世界のスタンダードの迅速分析法となることが期待できます。 研究資金と課題 本研究は、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「イオン液体による革新的バイオリファイナリーシステムの創出」(課題番号 26052A)による成果です。 |
| 研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2017/documents/p34-35.pdf |
| カテゴリ | 薬剤 |
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