国産トリュフの新種発見-栽培化にむけて-

タイトル 国産トリュフの新種発見-栽培化にむけて-
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 木下 晃彦
山中 高史
佐々木 廣海
奈良 一秀
発行年度 2017
要約 未分類だった日本産のトリュフ2種を、ホンセイヨウショウロとウスキセイヨウショウロという新種として発表しました。このうち、食用として有望なホンセイヨウショウロを対象にし、国産トリュフの栽培技術の開発に向けた研究を進めます。
背景・ねらい フランスやイタリアなどにおいて高級食材とされるトリュフは、日本にも20種以上が存在する可能性があることがこれまでの研究によって明らかになっていました。それらのうち、名前がつけられていなかった2種について、形態的、生態的および遺伝的な特性を検討し、今回、新種のホンセイヨウショウロとウスキセイヨウショウロとして発表しました。ホンセイヨウショウロは、日本各地に発生し、また独特の風味を有し、食材としての可能性があることから、この種を対象にして国産トリュフの人工栽培技術の開発に取り組んでいきます。
成果の内容・特徴 日本にもあったトリュフ
トリュフは、キャビアやフォアグラとならぶ高級食材として知られるキノコです。イタリアやフランスなどが 主な産地ですが、そのほか、インドや中国などのアジアでも発生することが知られており、日本では、トリュフをこれらの国から輸入しています。 国内でも、時々トリュフを採取したという新聞記事を目にすることがあります。2011年に、遺伝情報に基づいた解析により、日本国内にも20種以上のトリュフが存在する可能性があることが分かりました。昨年度から、農林水産省の委託を受けて、国産トリュフの人工栽培技術の開発をめざす研究プロジェクトが始まりました。まず、日本産トリュフの中から食用として有望なものについて、形態や、生態そして遺伝的な特性を検討して新種と確認 し、ホンセイヨウショウロ、ウスキセイヨウショウロと名づけました(図1)。

国産白トリュフ
白トリュフのなかまのホンセイヨウショウロは、宮城、 茨城、三重から採取した標本を、またウスキセイヨウショウロは、神奈川から採取した標本を、東京大学や菌類懇話会と共同で調査し、形態的な特徴を近縁の種と比較しました。その結果、子のうの中の胞子の数や、その表面構造などが、他の種と異なることが判りました(図2)。 また遺伝情報を解析した結果、ホンセイヨウショウロとウスキセイヨウショウロは、これまで知られているグループとは違うことが分かりました。これらの結果から、それぞれを新種と認め、ホンセイヨウショウロにはTuber japonicumという学名を、ウスキセイヨウショウロにはT. flavidosporumという学名をつけました。このうち、特にホンセイヨウショウロは、大きさ4センチにもなり、また、ヨーロッパの白トリュフと同じような香りがするなど、食用としての価値が期待できます。今後も調査を継続し、人工栽培方法を明らかにしていきます。

研究資金と課題
本研究は、農林水産省委託プロジェクト研究「森林資源を有効利用する技術開発」のうち「高級菌根性きのこ栽培技術の開発」およびJSPS科研費(JP24710271)「日本列島における地下生キノコの多様性評価と遺伝資源の保存」による成果です。
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2017/documents/p40-41.pdf
カテゴリ 遺伝資源 栽培技術

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