飼料用のライムギ単播草地はイノシシの牧草被害を抑制し、高収量が期待できる

タイトル 飼料用のライムギ単播草地はイノシシの牧草被害を抑制し、高収量が期待できる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター
研究期間 2010~2015
研究担当者 上田弘則
江口祐輔
堂山宗一郎
発行年度 2017
要約 5種類の寒地型牧草種間でイノシシによる採食被害割合に違いがあり、ライムギの採食被害割合が最も低い。採草用のライムギ単播草地では、侵入防止柵なしでイノシシの牧草採食被害を抑制し、高収量が期待できる。
キーワード イノシシ、イタリアンライグラス、寒地型牧草種、採食被害、ライムギ
背景・ねらい 冬季にイノシシによる寒地型牧草への採食被害が発生し、地域によっては侵入防止対策をしないと牧草生産ができない状況になっている。このような採食被害は、寒地型牧草そのものへの被害が問題となるほか、餌の少ない冬にイノシシの餌を供給して周辺の農作物被害を助長してしまうという問題もある。イノシシの水稲や果樹などの被害対策としては侵入防止柵の設置が効果的で、その導入も進んでいる。しかし、牧草地は面積が大きく、侵入防止柵の導入・維持コストが大きいため、侵入防止柵の導入が進んでいないのが現状である。そこで、寒地型牧草種ごとのイノシシの採食被害割合の違いに基づいて被害を受けにくい牧草種を明らかにして、その草種を栽培することで侵入防止柵なしでの被害軽減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 小面積の隣接する5つの試験区(各4a)に5種の寒地型牧草(イタリアンライグラス・エンバク・トールフェスク・オーチャードグラス・ライムギ)を栽培すると、5種類の牧草の中で、ライムギが最も被害割合が少ない草種である(図1)
  2. 各試験区に自動撮影カメラを用いてイノシシの延べ撮影頭数を比較すると、イタリアンライグラスの区画に比べて、ライムギの区画でイノシシの延べ撮影頭数が少ない(図2)。
  3. 近隣に利用可能な採草地がない実規模面積の採草地(2ha)にライムギのみを播種した場合には、収穫時の保護ケージ内外の草量に有意な差はみられない(図3)。したがって、ライムギ単播草地では、侵入防止柵なしでも採食被害が抑制される。
  4. 同一の採草地(2ha)にライムギとイタリアンライグラスを混播して、収穫時の保護ケージ内外の草量を比較すると、ケージ外の草量がケージ内の草量よりも有意に少ない(図3)。つまり、ライムギ・イタリアンライグラス混播草地ではイノシシの採食によって大幅に収量が減少する。
成果の活用面・留意点
  1. 寒地型牧草の草種ごとのイノシシによる採食被害の受けやすさを示すもので、播種する予定の草種に応じて、侵入防止柵の必要性を判断する材料となる。
  2. ライムギでも生育初期には食害を受ける。ライムギ単播での被害抑制効果は、生育後期のライムギへのイノシシ嗜好性の低下とライムギの他草種よりも強い回復力によるものと考えられるが、詳細は不明である。
  3. ライムギの穂は深刻な食害を受ける可能性があるので、穂の収穫を目的とする場合には、侵入防止柵が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/warc/2017/warc17_s12.html
カテゴリ イタリアンライグラス 寒地 コスト 飼料用作物 播種 ライ麦

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