タイトル |
大果で高糖度の観光農園・直売向け良食味イチゴ新品種「あまえくぼ」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2006~2016 |
研究担当者 |
曽根一純
木村貴志
沖村誠
北谷恵美
遠藤(飛川)みのり
藤田敏郞
|
発行年度 |
2017 |
要約 |
「あまえくぼ」は促成栽培に適し、大果で糖度が「さちのか」よりも1割以上高い良食味品種である。うどんこ病および炭疽病に中程度以上の抵抗性を示し、摘果等の栽培管理作業の省力化が可能であり、観光農園等での栽培に適する。
|
キーワード |
イチゴ、促成栽培、高糖度、良食味、観光農園
|
背景・ねらい |
近年、観光農園、直売所での販売やインターネット通販等を活用し、市場外で消費者に直接販売する事例が広がりつつある。このような販売形態では、市場出荷以上に大果で糖度が高く食味が優れることが重要となる。さらに、観光農園では摘果の必要がない適度な果数を有し、栽培期間中に問題となるうどんこ病等に抵抗性を有する、栽培管理が容易な品種が求められている。そこで、これら特性を有した促成栽培用品種を育成する。
|
成果の内容・特徴 |
- 「あまえくぼ」は、「濃姫」に、「さがほのか」を交雑した実生集団から選抜した一季成り性品種であり、促成栽培に適する。
- 草姿は立性で、冬期の草勢はやや強く、果房伸長性に優れる。うどんこ病および炭疽病には、中程度以上の抵抗性を示す。頂果房花数は「さがほのか」と同程度でやや少なく、摘果作業が軽減できる(図1、表1)。
- 花芽分化期は、ポット育苗では9月中旬であり、促成栽培での開花始期および収穫開始期は「とよのか」と同等である。年内および2月末までの早期収量は「とよのか」よりもやや少ない。一方、4月末までの全期収量は、「とよのか」と同等である(表2)。
- 果実は約15gと大果で、円錐形、果皮色は淡赤~赤色で光沢は中である。収穫期間を通じた平均糖度は「さちのか」よりも1割以上高く、酸度は「とよのか」と同等で、食味は極良である。硬度は「さちのか」並に高いが、果皮がやや弱く日持ち性がやや劣る(図1、表2)。
- 観光農園での現地適応性評価では、大果で糖度が対照品種よりも1割程度高く、食味の安定性が優れ、食味評価が極めて高い。また、栽培が容易で、栽培管理作業時間を「紅ほっぺ」よりも1割程度短縮でき、管理作業の省力化が可能である(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 促成栽培用品種として利用できる。果皮が弱く日持ち性がやや劣ることから、青果出荷用品種としての適性はやや劣るが、良食味を活かして完熟果をその場で食べる、観光農園や直売所向け品種としての適性が高い。
- うどんこ病および炭疽病には中程度以上の抵抗性を有するが、萎黄病には罹病性であるため、健全な親株から増殖を行うとともに、育苗期を含め予防的な防除に努める(表1)。
- 果房を畝の中心部に配置する「内なり栽培」では、過繁茂になると果実の着色不良を招きやすいため、果実に十分な光を当て着色を促進するとともに管理温度に留意する。
|
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2017/karc17_s18.html
|
カテゴリ |
病害虫
萎黄病
育苗
いちご
うどんこ病
栽培技術
出荷調整
省力化
新品種
炭疽病
抵抗性
品種
防除
未成熟そらまめ
良食味
|