電照処理を利用した早期出穂性エリアンサスの出穂遅延技術

タイトル 電照処理を利用した早期出穂性エリアンサスの出穂遅延技術
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究期間 2009~2020
研究担当者 寺島 義文
杉本 明
高木 洋子
安藤 象太郎
伊禮 信
田金 秀一郎
林 久喜
発行年度 2017
要約 サトウキビより出穂が早い日本で収集されたエリアンサスの出穂は、電照処理により遅延させることが可能である。株出し時期を遅らせた材料に処理を実施することで遅延効果が高まる。出穂を遅延させた穂は花粉親としてサトウキビとの属間交配等に利用可能である。
キーワード エリアンサス, 出穂遅延, 電照処理, サトウキビ, 属間交配
背景・ねらい エリアンサス(Erianthus arundinaceus)は、バイオマス生産性が高く、干ばつ等の不良な環境への適応性も優れるため、世界的にサトウキビ改良のための育種素材として注目されている。しかし、出穂がサトウキビより早いためにサトウキビとの属間交配に利用できない早期出穂性の遺伝資源が多く存在することが課題であった。そこで、早期出穂性のエリアンサス系統とサトウキビとの多様な属間交配を実現することを目的とし、日本で収集された早期出穂性のエリアンサス系統を利用して、電照処理による出穂遅延技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 国際農林水産業研究センターが保有する日本で収集されたエリアンサス遺伝資源の石垣島における出穂期は、自然日長条件下で11月から出穂が始まるサトウキビ育種素材より早く、最も早いJW630は9月中旬、最も遅いJW4は10月下旬である。
  2. 出穂遅延のための電照処理(図1)では、夏至翌日の6月22日から8月23日まで14時間の長日処理(電球から1m真下における照度は約500lux)を実施して花芽分化を抑制し、8月24日から2週間毎に日長時間を30分減少させる短日処理を自然日長条件になるまで実施して花芽分化を誘導する。
  3. 電照処理によりJW630、JW4の出穂を遅延させることが可能であり、株出し(地上部を収穫して地下に残る株から茎を再生させること)の時期を遅らせて生育量を抑制した材料に電照処理を実施することで出穂遅延の効果が高まる。JW630、JW4の電照区と自然日長区の平均出穂日の差は、それぞれ4月株出し区では2日、8日であったのに対し、6月株出しでは8日、13日、7月株出し区では20日、18日である(図2、3)。
  4. 7月株出しの材料に電照処理を実施することで、JW630は11月上旬~中旬、JW4は11月上旬~下旬に出穂するサトウキビ育種素材との属間交配が可能となる(図3)。
  5. 出穂を遅延させたエリアンサスの花粉発芽率は、JW630、JW4ともに25%以上であり、それぞれ花粉親としてサトウキビとの交配に利用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、早期出穂性のエリアンサスをサトウキビとの属間交配に利用する場合に活用できる。
  2. エリアンサス自体をエネルギー作物として利用するための新品種開発においても活用可能である。
  3. JW630については11月下旬以降、JW4については12月以降に出穂するサトウキビとの交配を実現するために、更なる出穂期の遅延に向けた技術開発やサトウキビの出穂を早める技術との組み合わせが必要である。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2017_b09
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2017_b09
カテゴリ 育種 遺伝資源 さとうきび 新品種

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