バングラデシュにおけるいもち病菌レースの分化とイネ遺伝資源の抵抗性変異

タイトル バングラデシュにおけるいもち病菌レースの分化とイネ遺伝資源の抵抗性変異
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 福田 善通
柳原 誠司
小原 実広
Khan Md. A. I.
Monsur M. A
Mia M. A.T.
Latif M. A.
Khalequzzaman M.
田中 顕子
林 長生
冨田 朝美
発行年度 2017
要約 バングラデシュにおける、イネ遺伝資源のいもち病抵抗性変異は多様である。イネいもち病菌レースは栽培されているイネ品種の抵抗性遺伝子型に対応しており、天水田と灌漑水田では異なるレースが分化している。
キーワード イネ, 抵抗性, いもち病, レース, バングラデシュ
背景・ねらい バングラデシュでは、イネいもち病被害が近年報告されている。バングラデシュでは、イネは栽培シーズンにより異なる生態型のイネが栽培されており、雨期前期の陸畑栽培でのAus、雨期後期の天水田のAman、冬季(乾期)灌漑水田のBoroに区分される。特にBoroにおいて、いもち病の多大な被害が発生している。しかしイネいもち病菌レースの分化やイネ抵抗性変異に関する知見は少ない。本研究ではこれらの知見を集積し、将来の防除技術の開発や遺伝的改良に資する。
成果の内容・特徴
  1. バングラデシュ全土より採取した331のイネいもち病菌菌系は、23種の抵抗性遺伝子を個別に有する判別品種群の反応から、クラスターグループIとIIに分類できる(図1)。
  2. クラスターグループIはIIに比べ、判別品種グループの「i」に含まれる抵抗性遺伝子PiiPi3Pi5(t)と、グループ「k」のPik-mPi1Pik-hPikPik-pPi7(t)に対してより高い病原性を示す(図1)。
  3. 天水田では主にクラスターグループIの菌系が、灌漑水田ではIIの菌系が主に分布し、イネ栽培形態に従ってレースが変化する(図2)。つまり、バングラデシュでは同じ地域でも栽培シーズンが変われば異なるレースが優占し、地理的分布とイネ栽培生態が対応する他の地域(日本、カンボジア、西アフリカ)とは異なる。
  4. 天水田用イネ品種BRRI dhan34とSadamotaから採取した菌系の多くは、グループ「i」と「k」の判別品種(Pik-sは除く)に対し病原性を示すが、灌漑水田のBRRI dhan28とBRRI dhan47からのものは非病原性である。
  5. 一方、バングラデシュ稲研究所において保存されている334のイネ遺伝資源は多様な抵抗性を示し、イネの栽培シーズンごと、品種グループことで複雑な変異を示すが、保有する抵抗性遺伝子を推定すると、BRRI dhan34とSadamotaなどは判別品種グループ「i」と「k」のいずれかの抵抗性遺伝子を有し、BRRI dhan 28とBRRI dhan47は持たない(表1)、
  6. つまり、バングラデシュにおけるいもち病菌レースは栽培シーズンごとで変化するが、それはシーズンごとに栽培されるイネ品種の抵抗性遺伝子型に対応している。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究成果は防除技術や抵抗性育種素材の開発研究のための有用な基礎情報となる。
  2. バングラデシュでは、イネ品種の抵抗性遺伝子型といもち病菌レースとが対応することが明らかになったが、今後も感染いもち病菌レースとイネ品種を対応させた関係を詳細に解明していく必要がある
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2017_b13
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2017_b13
カテゴリ 病害虫 育種 遺伝資源 いもち病 水田 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 防除

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