タイトル |
加工・業務用ホウレンソウの機械収穫体系を利用した刈り取り再生栽培技術 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2014~2017 |
研究担当者 |
石井孝典
鈴木崇之
森江昌史
安達克樹
深澤秀夫
鎌田えりか
大嶺政朗
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発行年度 |
2017 |
要約 |
歩行型の加工・業務用ホウレンソウ収穫機を利用することで、省力化と生産費の削減が図られ、刈り株から再生した2番草を再収穫することが可能となる。再収穫により厳冬期の収穫量確保とともに、さらなる生産物当たりの生産費削減が可能となる。
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キーワード |
ホウレンソウ、加工・業務用野菜、機械収穫、刈り取り再生栽培
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背景・ねらい |
冷凍加工用ホウレンソウの需要は増加しており、国内生産拡大のためには生産効率の向上が必要となっている。そのためには省力化とともに加工工場の効率的な操業のための定時・定量出荷体制の確立が必要である。そこで機械収穫の導入が遅れている中小規模生産者を対象に歩行型ホウレンソウ収穫機の改良を行い、機械収穫体系を構築するとともに、機械収穫を前提とした厳冬期の生産量確保のための栽培技術を開発することで、生産効率の向上を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 歩行型の収穫機を利用することで株の損傷が少なく、刈り取り収穫後に残った株から再生する2番草を利用する刈り取り再生栽培を行うことができる(図1)。
- 刈り取り再生栽培は9月下旬から10月上旬の間に播種し、11月から12月に収穫を行う作型に適用できる。収穫した後、厳冬期である2月までの間に再収穫できる。2番草収量は1番草収穫後の期間が長くなるほど多くなり、1番草収穫後に追肥を行うことで増加する(図2)。再生した2番草の生育は播種栽培の1番草の半分程度の積算温度で同一の葉長に達するため、厳冬期でも生産量の確保が可能である(データ省略)。
- 加工野菜収穫機(ニシザワMNSH-1300)の収穫能率を向上させるため、「小型コンテナ横流れユニット」を開発した(図3)。このユニットを取り付けることで、コンテナ交換のための作業停止が無くなり収穫能率が向上する。機械収穫体系は収穫機操作1名、収穫物の詰め込み2名、コンテナ搬出1名の4人組作業で、収穫作業時間は人力収穫(48.6人・h/10a)に対し、およそ1/5(8.8人・h/10a)となる。
- 現地実証試験及び現地実証協力生産者への調査結果からの試算では、生産物100kg当たり全算入生産費は、歩行型機械収穫体系の導入により慣行の人力収穫体系と比べ20%削減が可能となる。また、歩行型機械収穫体系に刈り取り再生栽培技術を導入することにより慣行の人力収穫体系と比べ42%削減が可能となる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:中小規模の加工・業務用ホウレンソウ生産者や生産団体
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:暖地の秋まき加工・業務用ホウレンソウ生産地域・15ha
- 歩行型の収穫機で効率的に刈り取りを行うためには、あらかじめ収穫機に対応する様式で栽培を行う必要がある。具体的には収穫機のクローラが通る通路部を取り、ホウレンソウ株の位置ができるだけ畦中央部の70cm~90cm程度に収まるようにする。
- 機械収穫体系や刈り取り再生栽培による収穫物を処理する加工工場には、雑草等の異物を除去するための処理工程の増強が必要となる。
- 刈り株からの再生栽培には、刈り株を傷つけないことが重要である。人や作業台車程度の踏圧では影響が少ないが、大型乗用収穫機やホイルローダーなどの大型作業機による踏圧では、再生ができなくなる。
- 1番草の生育時に、ほ場に雑草が多い場合、再生時に繁茂する恐れがある。1番草収穫以前の除草管理を徹底する。
- この刈り取り再生栽培に関する試験は宮崎県都城市九州沖縄農業研究センター都城研究拠点内ほ場及び宮崎県小林市M園芸組合現地ほ場にて実施した。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result030/2017/17_014.html
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カテゴリ |
病害虫
加工
栽培技術
雑草
収穫機
出荷調整
省力化
除草
生産拡大
播種
ほうれんそう
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