タイトル | 自律型海中ロボットのキチジ等北方重要底魚類の資源調査への応用 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 北海道区水産研究所 |
研究期間 | 2016~2017 |
研究担当者 |
濱津友紀 磯野岳臣 小岡孝治 服部努 成松庸二 柴田泰宙 |
発行年度 | 2017 |
要約 | キチジは、我が国オホーツク海における重要な底魚漁業資源である。自律型海中ロボット「ツナサンド」を用いてキチジを写真撮影し、その分布状況を調べた。ロボットを用いた観察調査により、キチジの分布特性や量、サイズ等の情報が得られることから、ロボットはキチジの資源調査へ応用可能と判断された。 |
背景・ねらい | 底魚類を対象とした資源調査は、トロール網等を用いた漁獲調査が主流であるが、海底が荒い場所では網を曳けないことや、漁具の漁獲効率(分布している魚のうち漁獲される魚の割合)が良く分からない等の問題があり、これらの問題を克服するための手法の開発が望まれている。自律型海中ロボットは人工衛星システムにより正確な撮影位置を特定できるとともに、潜行高度保持機能により対象物サイズや観察面積を精密に計測できる特徴をもつ。今回、対象としたキチジ・オホーツク海系群の資源評価は、漁獲統計のみにより実施されており、海底が荒くてトロール調査を展開できないことに加え、分布の情報も不足している。キチジ等北方重要底魚類の新たな資源調査手法の開発を目指し、最新の工学的技術により構成された自律型海中ロボットの応用を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 2013-2015年春のオホーツク海において、自律型海中ロボット「ツナサンド」を用いて、キチジと海底の写真を撮影した(図1)。キチジが観察された調査点は、水深は300-1,100m、底層水温は1.3-2.4℃の範囲にあった(図2)。また、キチジの分布は、水深や水温だけでなく、濁りなどの影響を受けると考えられた。オホーツク海ではキチジは急斜面の特定の水深帯に多かったことから、最初に等深線と直交するようにロボットを航行させてキチジが多い水深帯についての情報を得たのち、続く航行ではキチジの多い水深帯に沿ってロボットを航行させることで、効率的なデータ収集が可能となった(図3)。さらに、ロボット調査では正確なサイズ情報が得られることから、キチジの調査点ごとの体長組成を作成できた(図4)。以上の様に、ロボットを用いた観察調査により、キチジの分布特性や量、サイズ等の情報が得られることから、ロボットはキチジの資源調査へ応用可能と判断された。 |
成果の活用面・留意点 | ロボットから正確な位置とサイズ、面積の情報が得られるが、観察面積は小さいことから、資源調査としてはトロール曳網等の漁獲調査と組み合わせ、本手法の長所を生かした活用が期待される。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7155&YEAR=2017 |
カテゴリ | ロボット |