摂餌開始期における飢餓状態がスケトウダラ仔魚の生残と成長に及ぼす影響

タイトル 摂餌開始期における飢餓状態がスケトウダラ仔魚の生残と成長に及ぼす影響
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 北海道区水産研究所
研究期間 2013~2014
研究担当者 横田高士
中川 亨
村上直人
千村昌之
田中寛繁
山下夕帆
船本鉄一郎
発行年度 2017
要約 摂餌開始期のスケトウダラ仔魚に及ぼす飢餓の影響を飼育下で調べた。2~8℃で、初回摂餌は1~3日齢、point-of-no-return(PNR)は10~15日齢であった(図1、2)。孵化後の飢餓が短いほど成長と生残は良好であり、飢餓がPNRの2~3日前、1日前まで続くと、それぞれ成長、生残に影響が及んだ(図3、4)。本種の資源量は、摂餌開始期における餌の多寡に影響されることが示唆された。
背景・ねらい スケトウダラは北太平洋に広く生息する重要水産資源であり、北海道周辺に分布する集団についての野外調査により、繁殖や卵~仔魚期の発育及び分散・移動等に関する知見がこれまでにも収集されてきた。生態情報を飼育実験により検証し、加入量推定精度の向上に寄与していくことが求められる。加入量の多寡には発育初期の生き残りが大きく影響するとされているため、異なる水温や餌条件に対する孵化仔魚の応答を明らかにすることをねらいとした。
成果の内容・特徴 スケトウダラ孵化仔魚に一定期間の飢餓を経験させた後に給餌を開始して生残や成長に及ぶ影響を調べた。初回摂餌の後しばらくは混合栄養期間であり、さらに飢餓が続くと成長の低下、生残の低下、PNRの順に観察された(5℃の例を図1~4に示す)。本成果をタイセイヨウダラやコダラについての既往研究と比較すると、本種仔魚は冷水性魚類に標準的な飢餓耐性を備えていることが明らかになった。ただし、混合栄養期間中であってもより早くに摂餌した仔魚の成長や生残が良好であったことから、孵化直後の餌環境が加入量の多寡に影響しうることが示された。本成果は北海道区水産研究所において開発されたスケトウダラの初期飼育技術を活用した点に独自性がある。また、加入量変動要因解明には親魚の状態が産み出される卵~仔魚に及ぼす影響(母性効果)も考慮されるようになっており、孵化から再生産に至るまでの飼育技術を確立することによって更なる発展を目指している。
成果の活用面・留意点 本成果は、資源変動要因分析の高精度化、さらには資源管理に活用されることが期待できる。留意点としては、本成果が飼育下の単純化された環境において観察された現象であることに注意する必要がある。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7011&YEAR=2017
カテゴリ 飼育技術 繁殖性改善

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