タイトル |
ジェネラリストカブリダニ類に対する簡便で精度の高い薬剤感受性検定装置の開発 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 |
研究期間 |
2016~2017 |
研究担当者 |
岸本英成
柳沼勝彦
外山晶敏
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発行年度 |
2017 |
要約 |
微小害虫類の有望天敵であるジェネラリストカブリダニ類が好む微生息環境を人工的に再現した薬剤感受性検定装置は、カブリダニ類の装置内への定着が高く、死亡率と産卵数から簡便で精度の高い検定が可能である。
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キーワード |
ジェネラリストカブリダニ、薬剤感受性検定、ハダニ、天敵
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背景・ねらい |
カブリダニ類は、2016年現在日本国内で96種が知られている。近年、微小昆虫類、ダニ類や花粉などの植物由来物といった広い食性をもつ多様なジェネラリストカブリダニ類の発生例が減農薬果樹園を中心に多く報告され、天敵としての利用が期待されている。これらのカブリダニの活用のためには、悪影響の小さい薬剤を利用して防除体系を構築することが必要となる。しかし、ジェネラリストカブリダニ類に対する薬剤の影響を調査した例はほとんどない。その最大の理由として簡便で効率的な室内薬剤感受性検定法が確立されていないことが挙げられる。そこで、ジェネラリストカブリダニ類が好む微生息環境を人工的に再現することによる、簡便で精度の高い薬剤感受性検定装置を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ジェネラリストカブリダニ類雌成虫に対する薬剤感受性検定装置を図1に示す。本装置は市販のメッシュ付き昆虫飼育容器蓋とフェルトを基材として、カブリダニに好適な生息環境を構築する。昆虫飼育容器蓋は水を張ったシャーレ内に設置し、周辺を黒色ティッシュペーパーで覆うことによりカブリダニの逃亡を防ぐ。フェルトは薬剤散布後に設置する。
- 薬剤感受性検定手順を図2に示す。餌としてチャ花粉を供給した装置に雌成虫を導入し、試験薬剤を散布した後、フェルトを設置し、チャ花粉を追加する。その後の死亡状況から各種薬剤の影響を判定する。また、雌成虫はフェルト内に好んで産卵するので、産卵数からも各種薬剤の影響を評価できる。
- 果樹で多く観察されるジェネラリスト種であるニセラーゴカブリダニ、フツウカブリダニ、ミチノクカブリダニ、コウズケカブリダニを本装置で薬剤感受性検定した場合の48時間後の雌成虫の逃亡率は20%以下(装置あたり10個体導入、3反復)、また対照区として水を散布した場合の逃亡率は6.7%と高い定着性を示し、本試験法で精度の高い薬剤感受性検定が可能である。
- 卵に対する薬剤感受性検定では、サイズの大きなメッシュ付き昆虫飼育容器蓋に剥離紙付きベルベット布を設置した装置にカブリダニ雌成虫を導入して採卵した卵を使用する(図3)。雌成虫はベルベット面のみに産卵するため、薬剤散布はベルベット面のみで済むことから、薬剤処理作業を簡便に行うことができる。産卵されたベルベット布を、1.の検定装置のフェルトの代わりに置き、試験薬剤を散布した後、餌としてチャ花粉を1日おきに追加する。その後、成虫発育までの死亡状況から、各種薬剤の影響を判定する(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 今回供試したカブリダニ以外に、天敵製剤として使用されているジェネラリストカブリダニ種であるスワルスキーカブリダニにも本方法が適用可能である。また、本検定装置は多くのカブリダニ種が好む微生息空間を提供するものであり、多くのジェネラリストカブリダニ種に適用可能と考えられる。
- 雌成虫の検定の場合、即効性の薬剤は48時間後、遅効性の薬剤では96時間後に影響を判定するのが望ましい。96時間後に判定する場合には48時間後に餌を追加する。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2017/nifts17_s07.html
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カテゴリ |
病害虫
農薬
微小害虫
防除
薬剤
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