2011年の津波が仙台湾におけるヒラメ稚魚成育場の質に及ぼした影響

タイトル 2011年の津波が仙台湾におけるヒラメ稚魚成育場の質に及ぼした影響
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 東北区水産研究所
研究期間 2011~2016
研究担当者 栗田 豊
岡崎雄二
冨樫博幸
発行年度 2017
要約 2011年に発生した津波が、仙台湾におけるヒラメ稚魚成育場の質に及ぼした影響を評価した。成育場の質の指標となる成長速度は0.84~2.37mm/日(2011~2013年、全長25~146mm)であり、震災前後で変化していなかった。また、成長速度は、主要な餌であるアミ類密度に規定されておらず、餌が十分に存在していたことが示唆された。以上から、稚魚成育場は、震災により損なわれていないと結論した。
背景・ねらい 2011年3月に発生した津波により、沿岸の生態系は大きな影響を受けたことが知られている。仙台湾・常磐海域におけるヒラメ稚魚の成育場は水深15m以浅であり、ヒラメ稚魚が直接(津波により稚魚が死亡)、間接的(成育場の環境悪化により加入過程に影響)に津波の影響を受けたことが危惧された。今後、適切な資源管理を行う上で必要不可欠な情報として、津波がヒラメ稚魚成育場に及ぼした影響を評価した。
成果の内容・特徴 東北水研が2002年より調査を行っている閖上前浜の水深15m以浅の砂底域において、ヒラメ稚魚および餌生物の採集を行うとともに、物理環境および海底土の粒度を測定した(図1)。稚魚の成長速度が成育場の質の指標となるという考えの基、震災前後の成育場の質の変化を評価した。震災後における稚魚成長速度は0.84~2.37mm/日(2011~2013年、全長25~146mm)であり、水温から期待される最大レベルの成長速度であった(図2)。また、成長速度は震災前後で変化していなかった。さらに、成長速度は稚魚の全長と水温によって規定され、主要な餌であるアミ類密度に規定されていなかった。このことは、震災後の成育場には餌が十分に存在していたことを示唆する。アミ類密度は非常に高く(図3)、海底土の粒度は震災前と同様、中砂であった。以上から、稚魚成育場は、震災により損なわれていないと結論した。
成果の活用面・留意点 仙台湾におけるヒラメ稚魚成育場の質は低下していないことが明らかになった。他県によるヒラメ新規加入量調査の結果から、常磐海域においても低下していないと推察される。従って、従来どおり、親魚資源量の管理によってヒラメ資源管理が可能であると考えられる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7204&YEAR=2017
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