ルーメン内セルロース分解菌Fibrobacter succinogenesは乳糖を利用する

タイトル ルーメン内セルロース分解菌Fibrobacter succinogenesは乳糖を利用する
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2014~2017
研究担当者 三森眞琴
Ghali Ines
Sofyan Ahmad
大森英之
真貝拓三
発行年度 2017
要約 F. succinogenesを異なるセロビオース濃度を含む乳糖培地で培養すると乳糖のみの場合より誘導期と世代時間が短縮する。このことから、哺乳期のルーメンでは本菌は乳中の乳糖を利用し、飼料中のセルロースでルーメンへの定着が促進すると推定される。
キーワード 反すう家畜、ルーメン、Fibrobacter succinogenes
背景・ねらい 乳・肉牛などの反すう家畜の健全な生産には草食性としての消化機能が離乳時に十分に備わっている必要がある。そのためには、第一胃(ルーメン)の微生物叢(ルーメン微生物叢)が離乳前に成立し、飼料分解(ルーメン発酵)を開始しなくてはならない。しかし、植物由来の飼料を子牛へ給与する前にルーメンからセルロース分解菌が見つかるなど、ルーメン微生物叢の成立要因については不明な点が多く、幼若期の飼養管理についての情報が不足している。そこで、離乳前の飼養管理を適切に行うことを目指し、ルーメン発酵で重要なセルロース分解菌のルーメン内への定着を促進する条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ルーメン内主要セルロース分解菌F. succinognes S85を0.2%グルコースを加えた基礎培地を用いて38°Cで培養し、吸光度600nm(OD600)が0.3の時点で遠心分離により集菌する。菌体を基礎培地に再懸濁し、これを接種菌液とする。
  2. 2.5%乳糖を含む基礎培地(HL培地)を調製し、これに最終濃度0.2%、0.1%、0.05%、0.01%となるようにセロビオース(セルロース((C6H10O5)n)の最小単位)を添加する(各々HLC/0.2、HLC/0.1、HLC/0.05、HLC/0.01培地)。対照として、0.2%セロビオース添加-乳糖無添加基礎培地(C/0.2培地)を作成する。各培地(10ml)へ接種菌液(0.1ml)を接種し、38°CでOD600をモニターしながら培養する。
  3. C/0.2培地およびHL培地におけるF. succinognes S85の世代時間は各々1.9時間と16.2時間であり、乳糖のみを炭素源とする場合は世代時間が大幅に延長する(表1)。HL培地にセロビオースを添加すると誘導期が短縮し、セロビオース濃度が0.05%以上で二峰性の増殖(Diauxic growth)を示す(図1)。
  4. HLC/0.2培地に比べ、C/0.2培地では誘導期と世代時間が短縮と高いピーク時OD600が観察されることから、離乳後にF. succinognesはセルロースを活発に分解すると推定される。
  5. 二峰性の増殖において、第一対数増殖期の誘導期と世代時間はHL培地の場合よりも短縮する(表1)。これらのことから、F. succinognesは乳糖とセルロースを利用することによりルーメン内への定着を促進させると推察される(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. セルロース分解菌のルーメン内への定着機構を明らかにすることで、離乳前子牛の新たな哺育技術の開発に活かせる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2017/nilgs17_s10.html
カテゴリ 飼育技術 肉牛

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