ブリの来遊に関わる能登・佐渡沖合域の流動構造の経年変動

タイトル ブリの来遊に関わる能登・佐渡沖合域の流動構造の経年変動
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 日本海区水産研究所
研究期間 2016~2020
研究担当者 和川 拓
井桁庸介
本多直人
阿部祥子
久保田 洋
発行年度 2017
要約 ブリの来遊経路や空間分布の変動の要因を検討するため、流動構造の指標となる海面高度データを解析した。ブリの来遊期における海面高度の経年変動成分の第2主成分は、能登半島と佐渡島の沖合域における渦対の変動を示していることが明らかとなり、それによる流動構造の変動が沖合域を南北に回遊するブリの沿岸域への来遊機構の解明に活用できる可能性が示唆された。
背景・ねらい 能登半島と佐渡島の沖合域は、断続的に去来・発達する冷水渦・暖水渦に伴い、海洋環境や流動構造の時空間変動が大きく、流動構造の変動がブリの分布や回遊経路に影響を与えていると考えられているが、これまで中長期的な解析は行われていなかった。本研究では、流動構造を反映する人工衛星海面高度データを長期間(24年間)解析することで、能登半島と佐渡島沖合域における流動構造の経年変動の特徴を明らかにすることが目的である。
成果の内容・特徴 新潟県から石川県へのブリの主な来遊期である11~1月において、海面高度の経年変動の特徴を捉えるため、経年変動成分を用いて主成分分析を行った。日本海全域に及ぶ空間スケールの流動構造の経年変動を反映した第1主成分(寄与率41.2%)に対し、第2主成分(寄与率13.2%)は能登半島沖合域と佐渡島沖合域に逆向きの2つの渦(渦対)が分布する空間パターンが見られた(図1)。この空間パターンの強度を示す主成分スコアの変動を見ると(図2)、渦対は1年から4年の周期で流れの向きが入れ替わるような変動が見られた。この流動構造の変動は、2009 年(2009年は、2009年11月~2010年1月の平均値を表す)、2011 年、2015 年のような主成分スコアが正の年は佐渡島沖合では北東向きの流れが強まり、能登半島沖合では南西向きの流れが強化されることを示しており、2010年、2014年のような主成分スコアが負の年は佐渡島沖合では南西向きの流れが強まり、能登半島沖合では北東向きの流れが強化されることを示している。
成果の活用面・留意点 冬季に南下回遊するブリにとって、流動構造の変動がどのような影響を与える可能性があるかを考えると、主成分スコアが正の年は、佐渡島沖合は通過しにくく(佐渡島周辺でブリが滞留しやすく)、能登半島沖合 は通過しやすい(富山湾でブリが滞留しにくい)影響があると思われる。実際、2015年~2016年の冬季にかけて富山湾では記録的なブリの不漁に見舞われたが、新潟県では平年並みの漁獲量であった。今回得られた流動場の時空間変動パターンの特徴は、今後各地先における漁獲量の経年変動データの詳細な解析を通じて、ブリの来遊経路や空間分布の変動の要因の解明に貢献できると考えられる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7050&YEAR=2017
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる