タイトル | 基幹漁業漁獲物の高鮮度化と高品質な売れる商品づくり技術の開発 |
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担当機関 | 島根県水産技術センター |
研究期間 | 2013~2016 |
研究担当者 |
岡本満 竹谷万理 石原成嗣 清川智之 井岡久 |
発行年度 | 2017 |
要約 | 海水冷却装置を活用した沖合底びき網漁獲物の高鮮度化の取組を支援。ムシガレイのK値分析結果を活用した鮮度保持により、漁獲物全体の高鮮度化が図られた。平成28年度から、新たな商品規格・基準で立ち上げられた新ブランド「沖獲れ一番」について、各船団が漁獲したムシガレイのK値を分析。結果を漁業者等に伝達、改善を促すことで鮮度保持技術が安定し、平均単価や水揚げ金額の上昇に繋がった。 |
背景・ねらい | 浜田漁港を根拠とする沖合底びき網は1回の航海が約1週間と長く、漁獲された魚の多くは加工用原魚として利用されてきた。大規模修繕事業で海水冷却装置が導入されたことで、船上に水揚げされた漁獲物を速やかに冷却できるようになったことから、沖合底びき網の主要魚種で鮮度が低下しやすいムシガレイを指標とした高鮮度化への取組を進める。 |
成果の内容・特徴 | ・海水冷却装置導入の前後でムシガレイの鮮度(K値)を調査し、鮮度保持上の問題点を抽出。鮮度管理に必要な作業工程手順の整理と確認を行い、改善点を指摘することで、全体的な鮮度の底上げを図った。 ※K値:魚類の死後筋肉中のATPが分解される過程を数値化したもので、生鮮度の評価指標として用いる ・また「帰港日より1日以内のムシガレイで、本選別(厳密な選別)はせず、鮮度のバラつきを減らすため、一回の網で獲れた魚のみ箱詰めしたもの」を出荷条件とした新たな規格を立ち上げ、刺身で食べられるほどの鮮度での出荷が実現した(図1)。 ・上記規格のムシガレイのK値は、平成28年には全船が平均10%を下回るようになり、取組前よりも格段に鮮度が向上した(図2)。さらに同年から、新たに定めた商品規格・基準等を満たしたものについて新ブランド「沖獲れ一番」という名前で出荷されるようになり、さらに認知度が向上した(図3)。 【沖獲れ一番の規格基準】 1.市場出荷前日に獲れた魚のみを使用(対象魚種:ムシガレイ、マダイ、マトウダイ、ヒラメ、アカムツ、キダイ、アンコウ、アナゴ、キス、サワラ、マアジ 等) 2.漁獲後すぐに冷海水を使用して冷やしこみを行い、魚体温が5℃以下になっていることを確認したうえで氷入りスチロール箱で保管(魚体温の上昇を防ぐため船上での箱詰め後は一切蓋を開けない、また、出荷用スチロール箱側面に生産した船ごとにステッカーを貼付して出荷) |
成果の活用面・留意点 | ・鮮度保持により沖合底びき網の漁獲物の鮮度が向上し、その結果を流通業者や飲食業者、マスコミ関係者に情報提供した結果、漁獲物の評価が高まり、主要魚種の平均単価や水揚げ金額が上昇した。 ・高鮮度(=高イノシン酸含有)を活かした干物、燻製等の調味加工品、出汁パック等を開発した結果、これらに興味を持った企業が情報を活用し、試作や商品化の動きに発展した。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7082&YEAR=2017 |
カテゴリ | 加工 出荷調整 鮮度保持技術 ばら |