ポンプ設備の突発的な故障停止を防ぐためリアルタイムに遠隔監視するシステム

タイトル ポンプ設備の突発的な故障停止を防ぐためリアルタイムに遠隔監視するシステム
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2014~2017
研究担当者 國枝正
水間啓慈
安部田泰
吉田直樹
井原聡
類家淳司
高尾清志
発行年度 2017
要約 運転中のポンプ設備の潤滑油を分析・評価することにより、設備の異常兆候をリアルタイムに検出する遠隔監視システムである。検知した異常データは設備管理者の携帯端末に自動で通知され、蓄積データの閲覧により設備の故障停止を回避できる。
キーワード ポンプ設備、機能診断、遠隔監視、潤滑油、金属摩耗粒子
背景・ねらい 農業用ポンプ場は、農地ばかりでなく地域の用水および排水を担う重要な施設である。その多くが更新の時期を迎えているが、ポンプ設備の劣化の進行を評価するための情報が不足している現状にある。本研究は、ポンプ設備の突発的な故障停止を防ぐため、設備の劣化状態を定量的な指標を用いて機能診断を行い、故障が顕著となる前に異常兆候を検出する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 遠隔監視システムは、ポンプ設備と計測装置、状態監視サーバで構成される(図1)。計測装置は、運転中のポンプ設備の回転部から潤滑油を計測装置に循環させる機構を備えており、連続した計測が可能である。機能診断のための情報として、潤滑油の酸化劣化と水分混入の程度、並びに油中の金属摩耗粒子数を粒径別に計測する(図2)。計測装置で得られた機能診断情報は外部機器に送信され、状態監視サーバに蓄積される。
  2. ポンプ設備の管理者は、端末装置を介して状態監視サーバに蓄積された機能診断情報を閲覧し、その情報をもとにメンテナンスが必要か否かを随時判断することが可能になる。さらに、金属部品は異常摩耗が発生すると損傷の進行が加速されることから、管理基準値を超過して計測装置が異常兆候を検知すると、状態監視サーバを介して、登録した携帯端末にその情報を自動で通知することができる(図3)。遠隔監視システムを導入することにより、設備の劣化が進行して故障停止に至る前に適切かつ迅速な対処が行えるようになる。
  3. 対処例として、ポンプ設備の管理者は機能診断情報をもとに、潤滑油の酸化劣化や水分混入の程度の上昇を確認し、適切な潤滑性能を発揮できないと判断すると潤滑油の交換を行う。また、潤滑油に含まれる金属摩耗粒子の粒径及び個数に基づいて機械部品の摩耗の程度を判断して、機械部品の交換時期を決定することができる。計測装置の情報で判断することが困難な場合には、ポンプ設備から潤滑油を採取してさらに詳細な機能診断を行うという判断も可能になる。
  4. 本システムは、ポンプ設備設置工事に併せて導入することが望ましいが、既存のポンプ設備にも軽微な改造を行うことにより追加設置することが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ポンプ設備を管理する国、地方自治体、土地改良区等の団体
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:ポンプ設備がある全国の地域
  3. 管理基準値の設定:ポンプ設備用の潤滑油の管理基準値は、現状ではJIS等の規格や他分野の文献で用いられている値を準用している。ポンプ設備の潤滑油の診断事例を多く集め、ポンプ設備用の管理基準値を定める必要がある。
  4. その他:本システムは、対象をポンプ設備に限るものではなく、回転部に潤滑油を使用する全ての回転機器が対象となる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result090/2017/17_070.html
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