SSRマーカーを用いたバレイショの高精度な品種判別法

タイトル SSRマーカーを用いたバレイショの高精度な品種判別法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
研究期間 2015~2016
研究担当者 岸根雅宏
堤克二
橘田和美
発行年度 2017
要約 4塩基の反復単位を持つ8種類のSSR(simple sequence repeat)マーカーを組み合わせ、高精度かつ簡便にバレイショの品種を見分けることができる。本手法を用いて、任意の異なる2品種が同じと誤判定される確率は、約1億分の1である。
キーワード バレイショ、ジャガイモ、SSRマーカー、品種判別
背景・ねらい 農産物の育成者権の保護や種苗管理の適正化のために、DNA分析による品種判別技術が非常に有用である。また、食品への品種表示の信頼性を担保するためにも同技術が活用されている。
一般的なバレイショは、同じ種類の染色体を4本ずつ持つ同質四倍体として知られており、1箇所のSSRマーカーの分析によって、最大で4本の増幅産物が生じる。加えて、従来用いられてきた2塩基反復単位のSSRマーカーでは、本来の増幅産物の前後にスタッターピーク(DNA増幅の際に生じる反復数がずれた産物)が生じやすく、その結果、数多くのピークが重なり合い正確な判定が困難となる場合がある。
そこで、スタッターピークが少ない4塩基の反復単位を持つSSRマーカーを利用し、高精度にバレイショ品種を判別できる手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. バレイショのゲノム情報から選抜した、4塩基の反復単位を持つ8種類のマーカーを用いる(表1)。
  2. 4塩基の反復単位を持つSSRマーカーを利用することで、スタッターピークが少なく、隣接するピークとも明確に区別できる(図1)。
  3. 国産及びアメリカ産76品種の分析の結果、開発した8種類のマーカーのアリル数(検出されたピークの数)は最小6~最大12、遺伝子型数(ピークの組み合わせによる遺伝子構成の数)は最小16~最大36、識別能(任意の2品種が異なる遺伝子型を有する確率)は最小0.725~最大0.942であり、8種類のマーカーを組み合わせた識別能は1.00-1.10×10-8である。これは、本手法を用いて任意の2品種を分析した際、同じ遺伝子型となるのは約1億分の1であることを示す。
  4. SSRマーカー領域を増幅するPCR工程では、増幅に用いるプライマーを全て混合したマルチプレックスPCRを採用し、簡便に検査工程を進めることができる。
  5. ポテトフレークや成型ポテトチップスなどバレイショ加工品においても、残存するDNAを用いることで分析可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 分析済みの76品種には国内品種の大部分が含まれており、分析結果を既存のデータに照合することで品種を決定できる。
  2. 加工品から抽出したDNAのPCR工程に際しては、増幅が全体に低下し、また高分子(図2の200bp以上の部分)のDNAの増幅が弱くなる傾向があるため、PCRサイクルやプライマー濃度を最適化する必要がある。
  3. 一般的な四倍体品種では、各マーカーにおいて1~4本のピークが、「インカのめざめ」「インカのひとみ」などの二倍体品種の場合には、各マーカーにおいて1~2本のピークが得られる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nfri/2017/nfri17_s20.html
カテゴリ 加工 ばれいしょ 品種

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