タイトル |
省コストな増殖手法であるサケ発眼卵放流に適した河川環境の検討 |
担当機関 |
(国研)水産研究・教育機構 日本海区水産研究所 |
研究期間 |
2013~2015 |
研究担当者 |
飯田真也
|
発行年度 |
2017 |
要約 |
発眼卵放流は発眼期に達した卵を河床に埋設する省コストな増殖手法である。サケの発眼卵放流に適した環境を検討するため、環境要素を計測した河床へ発眼卵を埋設し、浮上期に至る生残を調べた。生残率は流速が速まるほど、また、細かな砂の割合および水深が低下するほど有意に高まった。効果的な発眼卵放流を行うには、透水性が高く、砂が侵入しにくい浅くて流れの速い場所を選択する重要性が示された。
|
背景・ねらい |
日本のサケ資源の大半はふ化放流事業によって維持されている。サケの分布南限であり本種の漁獲量が少ない本州では、経済的な問題によって稚魚放流を続けることが困難なふ化場が増えてきた。今後、サケ資源を持続的に利用していくためには、従来の稚魚放流に比べて省コストな増殖手法を導入していく必要がある。そこで、省コストな増殖手法として代表的な発眼卵放流(発眼期に達した卵を河床に埋設する放流手法、図1)について河川環境と生残の関係を調べ、発眼卵放流の効果を高める環境条件を検討した。
|
成果の内容・特徴 |
発眼卵放流群が稚魚に成長するまでの生残率は平均81%(範囲6~100%、N=42)であり、放流場所の流速が早いほど、また、河床に含まれる粒径2 mm以下の砂の重量割合および水深が低下するほど有意に高まる傾向が認められた(図2)。この要因として、砂の割合が高いと透水性が低下し、また、流速が遅くて深い場所では砂が河床内へ経時的に侵入し、卵や仔魚に十分な溶存酸素が供給されずに窒息したことが考えられた。効果的な発眼卵放流を行うためには、透水性が高く、砂が侵入しにくい浅くて流れの速い場所を選択する重要性が示された。
|
成果の活用面・留意点 |
適切な放流場所を選択した場合、概ね90%以上の割合で稚魚を生産出来ることが明らかとなった。この生残率はふ化場の飼育群とほぼ等しいことから、発眼卵放流は省コストかつ生産性の高い増殖手法と言えよう。ただし、発眼卵放流で生産した稚魚が親魚になって河川へ回帰する割合等は不明であり、今後、発眼卵放流群の放流効果を明らかにする必要がある。
|
研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7090&YEAR=2017
|
カテゴリ |
コスト
|