海水池を利用したアサリ稚貝の低コスト大量育成

タイトル 海水池を利用したアサリ稚貝の低コスト大量育成
担当機関 山口県水産研究センター 
研究期間 2014~2015
研究担当者 岸岡正伸
多賀 茂
和西昭仁
鹿野陽介
山本明子
谷村利克
柿野 純
井上隆彦
発行年度 2017
要約 アサリの人工稚貝(20mm)を生産するため、屋外大型水槽で年間1,000万個以上の2mm稚貝を生産し、この2mm稚貝を海水池に移植して格安肥料を施肥しながら20mmまで低コストかつ高歩留りで大量育成する技術を開発した。池内のアサリ現存量は最大26トンに達し、これらの稚貝は試作した曳走式噴流ジョレンで年間5~10トン回収できた。
背景・ねらい 我が国のアサリ漁獲量は減少の一途を辿り、多くの地域において壊滅的状況にある。このため、人工稚貝による増養殖を推進する必要性が高まっているが、由来の明確な地元産稚貝は慢性的に不足している。2011年度から2013年度にかけて、遊休化したクルマエビ養殖池(面積0.5ha)に2mm稚貝を移植し、配合肥料を散布するとともに、小型底びき網で海底を引き回し海水を撹拌して育成すると、11ヶ月後に1m2あたり3kg(池全体で500万個、15.7トン)のアサリ(殻長21~28mm)が成育することを確認した。この手法を用いて漁場展開が容易な20mm稚貝を量産するためには、天然稚貝並みのコストに抑える必要がある。そこで、2014年度から2015年度にかけてふ化から2mmまで陸上水槽で低コスト生産する技術を開発するとともに、内海研究部の海水池(面積1.5ha)で格安肥料(たい肥)を用いてアサリの施肥育成を実施した。
成果の内容・特徴 屋外100トン水槽2面で浮遊幼生を飼育し、着底期以降、粗放的に培養したプランクトンを供給することにより、年間1,300~1,600万個の2mm稚貝を生産し、大幅にコストを削減(0.014円/個)した(図1)。

生産した2mm稚貝を海水池に移植し、格安肥料(たい肥、全窒素量3.5~3.7%)を毎週600~1,200kg(海水トンあたり27~53g)散布しDIN濃度を0~40μMにすることで、4月から8月にかけて稚貝の成育を良好に保つために必要なクロロフィル量を維持できることがわかった(図2)。2mmから20mmまでの稚貝の歩留りは2014年度、2015年度ともに50~70%の範囲で、2015年の池全体のアサリ現存量は前年の取り残し貝を含めると26トン(1,800万個)まで増加した。アサリ回収装置(曳走式噴流ジョレン:本体重量35kg、篭重量10kg、回収機の有効幅80cm、曳走速度20m/min.)を試作し、2014年度は生産した稚貝を5トン(300万個)、2015年度は10トン(520万個)回収した。

20mm稚貝の生産単価は年間16トン生産する場合、キロ当たり250円になると試算された(図1)。
成果の活用面・留意点 生産コストは、管理職員の人件費や施設の減価償却費を含まない直接的経費で算出している。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7015&YEAR=2017
カテゴリ 肥料 コスト 施肥 低コスト

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