分割することで小型化した植物ゲノム編集ツールの開発

タイトル 分割することで小型化した植物ゲノム編集ツールの開発
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2015~2017
研究担当者 賀屋秀隆
石橋和大
土岐精一
発行年度 2017
要約 小型のゲノム編集ツールであるSaCas9を2分割して発現させても、植物においてゲノム編集活性を保持していることを明らかにする。さらに、片方を植物ウイルスベクターから発現させても、活性を持っていることを示す。
キーワード CRISPR/Cas9、ゲノム編集、split SaCas9
背景・ねらい Cas9遺伝子を2分割することで小型化し、植物ウイルスベクターから発現させることを目指すものである。これまでに一般的に利用されているCas9遺伝子は、Streptococcus pyogenes由来のもので4.1kbの大きさである。これに対して、Staphylococcus aureus由来のSaCas9は、3kbと小さい。しかし、この小さなSaCas9でも植物ウイルスベクターに搭載するのは困難である。そこで、SaCas9を2つに分割して発現させることを試みる。これまでに、SaCas9を分割する方法について報告があるが、植物ゲノムのゲノム編集においてどの組み合わせが適しているのか、ウイルスベクターに搭載できるかどうかについては、不明である。本研究では、複数の組み合わせのsplit SaCas9について、植物ゲノム編集効率を比較するとともに、植物ウイルスベクターに搭載し、ゲノム編集可能かどうか検討する。
成果の内容・特徴
  1. SaCas9を430N/431Cあるいは、739N/740Cの2つに分割する(図1)。
  2. split SaCas9 430N/431C、split SaCas9 739N/740Cもゲノム編集活性を保持している。split SaCas9 739N/740Cは、全長のSaCas9とほぼ同定の活性を持つ(図2)。
  3. split SaCas9 739N/740Cの一方を植物ウイルスベクターから発現させても、ゲノム編集活性を持つ(図3)。
  4. このように、元々小型であるSaCas9を分割することにより、さらに小型化したゲノム編集酵素による植物のゲノム編集に成功した(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. split SaCas9の2つの断片を両方とも植物ウイルスベクターから発現させ、ゲノム編集を行うことで、外来遺伝子の挿入を経ずにゲノム編集植物の作出が可能となる。
  2. 2つの断片を同種の植物ウイルスベクターから発現させることは非常に困難である。よって、2つの断片を同程度に発現させられる植物ウイルスベクターの組み合わせを検討する必要がある。
  3. ゲノム編集後、植物ウイルスベクターを取り除くしかけも導入する必要がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2017/nias17_s10.html
カテゴリ 植物ウイルス

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