タイトル | 水産物持続可能性評価プロジェクトにおける海洋環境・生態系影響評価手法の開発 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 国際水産資源研究所 |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
清田雅史 米崎史郎 竹重愛吾 岸田 達 |
発行年度 | 2017 |
要約 | 国産水産物を持続的に利用するためのガイドとなる評価リストを公表する水産機構のプロジェクト「SH“U”N」において、漁業が海洋環境と生態系に及ぼす影響を、同時漁獲種、捕食被食関係を通じた間接効果、生態系全体の状況、水質・大気環境の観点から、限られた情報に基づいて悪影響が及ぶリスクを評価する手法を開発し、マサバ、マイワシ等の魚種に適用して情報公開した。 |
背景・ねらい | 水産業の持続可能な発展のためには、行政や国際機関による管理に加え、一般市民が意識を高め、正しい選択をすることが重要である。水産機構は、消費者の選択行動を通じて我が国水産業の持続可能性を高めるため、水産資源、生態系、地域コミュニティーに関する科学的情報をわかりやすく公表するSH“U”Nプロジェクトを立ち上げた。本研究はその一環として、海洋環境と生態系の状況を評価する手法を開発した。 |
成果の内容・特徴 | 漁業が生態系に不可逆的変化(漁業を一旦停止しても元に戻らないほど強いダメージ)を与えるリスクを回避し、生物多様性に富んだ生産力・回復力の高い状態を保つことが重要である。本研究では、評価対象魚種と海域を選定し、漁業活動の特徴を把握した上で、1)海洋生態系に関する情報蓄積や、調査・モニタリングの状況、2)当該漁業によって混獲される混獲利用種、混獲非利用種(投棄種)、操業域と時空間分布が重複する希少種への影響、3)捕食被食関係を通じた間接影響や、生態系全般、海底環境、大気・水質環境の変化を評価対象とする(表1)。しかし、海洋生態系について利用できる情報は限られるため、少ないデータに基づいて悪影響が及ぶリスクを評価するリスクベース手法を開発した。開発した手法では、評価対象とする生態系特性の経時的変化もしくは影響の受けやすさ(感受性)を一つの評価軸とする。補足情報が利用可能であれば、漁業活動が与える潜在的な影響の大きさや干渉が発生する可能性を加えた2軸評価を行う。 |
成果の活用面・留意点 | 開発した手法を用いて、マサバ太平洋系群、マイワシ太平洋系群、マアジ太平洋系群の評価を行った。混獲利用種や生態系全般の状況はおおむね安定しており懸念は少なかったが、非利用種や希少種の混獲発生状況に関するデータが乏しい問題点が明らかになり、低めの評価スコアにとどまった。専門家諮問やパブリックコメントでも、我が国周辺の生態系と漁業の関係に関する貴重な情報として好評を得た。その後ウルメイワシ、イカナゴ、ブリの評価を行うとともに、所内プロジェクト研究を通じて着底漁業の海底環境影響評価手法を開発中である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7222&YEAR=2017 |
カテゴリ | くこ モニタリング |