粒子追跡モデルと生物エネルギー収支モデルを組み合わせたカツオ回遊モデルの開発

タイトル 粒子追跡モデルと生物エネルギー収支モデルを組み合わせたカツオ回遊モデルの開発
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 国際水産資源研究所
研究期間 2016~2017
研究担当者 青木良徳
増島雅親
清藤秀理
発行年度 2017
要約 日本沿岸に回遊するカツオの由来を特定する研究を行っている。その一環として、粒子追跡モデルと生物エネルギー収支モデルを組み合わせて、カツオの移動と成長を両方再現できる回遊モデルを開発した。モデルの中で日本沿岸に回遊した魚の体長組成は、実際のものと一致し、本モデルが回遊をよく再現していることが示された。今後は日本沿岸に回遊するカツオの由来を定量的に評価できると期待される。
背景・ねらい カツオの主産卵場である熱帯域における高い漁獲は、日本周辺域におけるカツオ漁獲量低迷に影響していると指摘されている。しかし、現在の中西部太平洋カツオ資源評価モデルでは、両海域の移動はほぼ再現されていない。資源評価モデルにおける海域間の移動については、標識魚の放流・再捕データに基づくため、標識装着が可能なサイズの行動生態に依存しており、実際の成長に伴う移動を考慮できない。そこで本研究では、カツオの卵から成魚期にかけての移動を再現するために、粒子追跡モデルと生物エネルギー収支モデルを組み合わせたカツオ回遊モデルを開発し、熱帯域と日本周辺海域間での移動を検討した。
成果の内容・特徴
  • カツオ回遊モデルを開発するにあたり、移動を粒子追跡モデルで再現し、成長を生物エネルギー収支モデルで再現した(図1)。成長は、粒子の軌跡上の水温・餌料環境を入力データとして、生物エネルギー収支モデルから計算するため、環境の違いを成長に反映できる点が本モデルの最大の特徴である。
  • 熱帯・亜熱帯域を産卵場と想定し、粒子を約1年半移動させた結果、カツオ竿釣り漁の漁期初めの漁場に到達した粒子の体長は、同時期・同海域にて漁獲されるカツオの体長組成(中央値:43.7 cm)と一致した。このことから、本モデルはカツオの移動と成長を再現するのに有効であると示された。
  • 日本周辺に到達した粒子の一部は熱帯域由来であることが明らかとなった(図2)。
成果の活用面・留意点 本研究で開発したカツオ回遊モデルは、標識装着が困難な生活史初期から幼魚にかけての移動も評価することが可能である。本モデルが日本近海と熱帯域の資源の繋がりを明らかにしたことは、現在の資源評価モデルの移動に関する設定に改良の必要性があることを意味する。この情報は資源評価モデルの高精度化に資すると期待される。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7207&YEAR=2017
カテゴリ 亜熱帯

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