タイトル | ニホンウナギのふ化仔魚を10万尾単位で研究機関へ輸送・供給することが可能になった。 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 増養殖研究所 |
研究期間 | 2012~2016 |
研究担当者 |
今泉均 神保忠雄 樋口理人 田中秀樹 野村和晴 風藤行紀 尾崎雄一 田中寿臣 飯田益生 太田博巳 |
発行年度 | 2017 |
要約 | ニホンウナギの組換え成熟ホルモンを人工的に大量生産し、親魚の成熟率を高めることができるよう になった。また、最終催熟処理において成熟段階の異なる複数の親魚をその後の水温制御により同日に産卵 させ、1 日に 100 万粒以上の受精卵を確保することが可能になった。さらに、良質のふ化仔魚を安定的に確 保し、仔魚飼育技術の開発を行っている研究機関へ 10 万尾単位で発送することが可能になった。 |
背景・ねらい | 現在、ニホンウナギの養殖用種苗は、その全てを天然の稚魚(シラスウナギ)に依存しているため、近年の 稚魚の不漁でその価格が高騰し、ウナギ養殖業の経営を大きく圧迫している他、天然資源へ与える影響も懸 念されている。このため、一刻も早い人工種苗の大量生産技術の確立が望まれている。水産研究・教育機構 は、2010 年(当時:水産総合研究センター)に、ニホンウナギの完全養殖を達成したが、商業化ベースの人 工稚魚の大量生産には至っていない。良質な受精卵及び仔魚を安定的に確保・供給する技術を確立すること は、人工稚魚の商業化レベルの大量生産技術の開発を加速する上で必須である。 |
成果の内容・特徴 | これまでニホンウナギの人為催熟では、雌はサケの脳下垂体抽出液、雄はヒト絨毛性生殖腺刺激ホルモンと、 それぞれ異種由来の生殖腺刺激ホルモン(GTH)を使用してきたが、成熟誘導率が低いうえ、得られる卵の 質が大きくばらつく等の問題が有った。そこで遺伝子工学的手法により生産したウナギの組換え GTH を使 用することで親魚の成熟効率を高めることに成功した(*1)。また、最終催熟段階において成熟段階が異な る複数親魚について、卵巣内最大卵径群の平均値が小さい個体の成熟をその後の水温制御で速めることによ り、同平均値の大きい個体の成熟と同期させ、大型産卵水槽(写真)内で同日に産卵させることに成功し、1 日 100 万粒以上の受精卵を確保することが可能になった。さらに、採卵した受精卵のふ化手法、輸送に適し た日齢までのふ化仔魚管理手法、及び輸送容器等の検討により、仔魚飼育技術の開発を行っている研究機関 へ 10 万尾単位のふ化仔魚供給が可能になった(*2)。 |
成果の活用面・留意点 | 良質な仔魚の安定生産及び供給技術は、人工稚魚の商業化レベルでの大量生産に向けた「仔魚飼育技術」開 発への供給のみに留まらず、将来的に人工種苗生産現場の拠点となる仔魚供給センター構築の礎となる。し かし、ウナギ人工種苗生産技術の海外流出を防ぐため、その詳細なデータ及びノウハウの取り扱いについて は最大限の注意が必要である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7106&YEAR=2017 |
カテゴリ | 経営管理 飼育技術 ばら 輸送 |