タイトル | 漁港施設における藻場創出機能の診断手法に関する研究 |
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担当機関 | 国立研究開発法人土木研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
三上信雄 牧田佳巳 佐藤仁 三森繁昭 大橋正臣 梶原瑠美子 |
発行年度 | 2017 |
要約 | 港湾・漁港の自然調和型構造物における藻場創出機能の診断手法の確立を目的に、現地調査を実施し藻場環境の阻害要因となる物理環境、植食動物分布を把握した。これより、水産基盤施設の機能保全対策(ストックマネジメント)の診断体系を参考に、生物的観点から機能の発現状態を客観的に評価するための機能診断手法を提案した。 |
背景・ねらい | 北海道内の漁港では、20年以上も前から防波堤や護岸等に藻場創出機能を付加した自然調和型漁港構造物が整備されてきた。しかし、近年の海水温の上昇といった海域環境の変化等によって、当初期待された藻場創出機能が低下する事態が増加している。漁港施設の機能保全にあたっては、施設の現状を適正に評価し、機能の発現状況を適切に把握することが重要であるが、藻場創出機能などの自然環境調和機能に関しては、評価手法や対策手法の検討が進んでいないのが現状である。本研究は、自然環境調和型沿岸構造物のうち藻場創出機能を付加した藻場造成型漁港構造物に着目した機能診断手法を提案するものである。 |
成果の内容・特徴 | 自然環境調和型沿岸構造物の機能診断は、図1に示す3つの項目から構成されている。「機能評価」では、簡易調査結果に基づき4段階の評価区分で簡易評価(表1)・総合評価(表2)を行い、総合評価において健全度が「AまたはB」のように機能低下となった場合に詳細調査を実施する(表3)。「要因特定」では、詳細調査結果より阻害要因を特定する。「対策・効果確認」では、阻害要因に応じた機能回復対策の検討・実施および継続的な効果確認のためのモニタリング行う。なお、本診断手法は、寿都漁港(北海道日本海)および元稲府漁港(北海道オホーツク海)の調査結果をもとに現地検証を行っている。 |
成果の活用面・留意点 | これまで土木構造物の維持管理を実施する中で、生物的な面からの系統的評価手法は十分に検討されておらず、藻場造成型漁港構造物の機能保全対策は進んでいない。そこで、現状の機能把握・評価、阻害要因特定といった機能診断手法、並びに対策手法の検討や実施、さらにモニタリングによる継続的な効果の確認などのフォローアップに至る一連の評価体系の構築により、藻場造成型漁港構造物の機能保全に役立てることができる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7149&YEAR=2017 |
カテゴリ | 診断技術 ストック モニタリング |