3年間の多摩川アユ中流域遡上調査

タイトル 3年間の多摩川アユ中流域遡上調査
担当機関 東京都島しょ農林水産総合センター
研究期間 2014~2016
研究担当者 橋本 浩
澤崎昌子
高瀬智洋
発行年度 2017
要約 東京湾から多摩川に遡上してくるアユの数は、下流域での調査により平成18年以降、毎年100万尾以上と推定されているが、中流域では概ね1万~3.5万尾であることが明らかとなった。また、十分機能していない魚道などの遡上阻害要因を把握し、その回復に向け提言を行なった他、堰下で滞留しているアユを簡易な手法で遡上させることに成功した。
背景・ねらい 東京湾から遡上する「江戸前アユ」は、多摩川の環境改善のシンボルとして、内水面漁業関係者のみならず、都民の関心も高い。近年では下流域の調査で100万尾を上回る遡上が推定されているが、どのくらいのアユが中流域を通過し、上流域に到達しているかといった問い合わせも多くなっている。そこで、1.下流域での遡上調査を継続するとともに、2.これまで実態が不明であった中流域におけるアユの遡上実態の把握と、3.上流への遡上阻害要因の把握と遡上の促進に取り組んだ(図1)。
成果の内容・特徴
  1. 下流域の遡上数調査:下流域(河口から11km)において、3月下旬~5月末まで定置網へのアユ入網数を毎日調査し、平成26~28年は400万尾以上のアユが遡上したと推定された(図2)。
  2. 中流域の遡上実態調査:中流域の昭和用水堰(河口から47.8km)において、5月下旬~7月末まで定置網へのアユ入網数を定期的に調査し、3年間の調査で、おおむね1~3.5万尾のアユが堰を通過したと推定された(表1)。調査で採捕したアユ20検体について、側線上方横列鱗数と耳石のSr/Ca比分析、日齢解析を行い、すべて天然アユと推定された(図3)。平成27年の推定遡上数について、ブートストラップ法により95%信頼区間を求めたところ、下は3,363尾、上は23,467尾、推定遡上数の誤差は52.5%であった。
  3. 遡上阻害要因の把握と遡上促進の取り組み:平成26年に羽村堰第三床固の魚道上流部に土砂が堆積し、魚道が機能していないことが確認されたため、魚道管理者に情報提供を行い土砂の撤去につながった(図4)。

 堰下に滞留するアユに対し、底面に穴を開けたコンテナを用いて簡易魚道を開発した。魚道内よりも主に図5に示したルートでアユが補助的に本魚道を利用し、最多で150尾/時間の遡上を計数した。
成果の活用面・留意点 中流域におけるアユの遡上実態や遡上阻害要因について一定の知見を得たことで、江戸前アユを中・上流で利活用する際の基礎資料となる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7094&YEAR=2017
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