タイトル | 無給餌期間がキジハタ蓄養魚に与える影響 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 日本海区水産研究所 |
研究期間 | 2017~2017 |
研究担当者 |
清水健 竹内宏行 崎山一孝 |
発行年度 | 2018 |
要約 | キジハタの天然魚を育成水槽に収容した後0~5週間の無給餌期間を設け、その後に給餌を実施した場合の摂餌状況と成長を比較した。その結果、無給餌期間が長期化するほど体重の減少が顕著となるが、給餌を開始すると速やかに回復する。但し、無給餌期間5週区では体重の減少が顕著で、他の区に比べ回復も遅れる傾向が見られた。 |
背景・ねらい | キジハタは大型個体の単価が高く珍重される一方、日本海中部海域では比較的小型の個体が小型定置網により短期に集中して漁獲される傾向がある。これら小型個体を一定期間いけす等で蓄養して漁獲が少ない時に流通出来れば、魚価の安定等収益構造の改善が期待される。本研究では短期間(1ヶ月程度)の蓄養を想定し、無給餌期間の長さがキジハタ蓄養魚に与える影響について比較試験を実施した。 |
成果の内容・特徴 | 小型定置網により漁獲されたキジハタ天然魚(全長 26.0~31.9cm、体重 302~552g)を 1kL 水槽に各 10 尾収容して、それぞれ、0、2、3、4、5 週間の無給餌期間を設けた飼育試験を実施した(図 1)。 飼育水温は 22.4~16.9 ℃と下降傾向で推移し、各試験区とも水温が 20 ℃を下回ると摂餌率が低下した。供試魚への給餌開始後、摂餌確認までの所要日数は、無給餌期間 0 週区(図2中の1区、以下同様)で 10 日目、2 週区(2区)は 1 日目であったが、摂餌率が安定するまでおよそ 3 週間を要した。また 3~5 週区(3~5区)は給餌開始直後から高い摂餌率を示した(図 2)。実験期間を通じ斃死は認められなかった。 収容時を 100 とした体重の相対値では、無給餌期間 0~2 週区(1~2区)で 98、3~4 週区(3~4区)で 95 まで減少したが、いずれも給餌開始後 2~3 週目で収容時の値を上回るまで増加し、以後 105~110 で推移した。しかし無給餌期間5 週区(5区)では 90 まで減少し、給餌開始 6 週間後(試験開始後11週)でも収容時の水準を下回った(図 3)。同様な傾向は肥満度の相対値でもみられた。 無給餌期間別の体重増減率を比較すると、0~2 週区(1~2区)と 3~4 週区(3~4区)の間には有意差が認められなかった。また、試験開始時と給餌開始 2 週間後の体重を比較するといずれの区も速やかな回復を示したが、無給餌期間5週区(5区)では他の区に比べ回復が遅れる傾向が見られた(図 4)。 |
成果の活用面・留意点 | 今回の結果より、天然魚の蓄養を行う場合、2 週間程度の無給餌期間であれば体重の減少による商品価値の低下は生じないことが推定できた。また、無給餌期間が 4 週間程度に及んだ場合でも、給餌を開始すれば比較的早期に体重が回復することが明らかとなった。 今回の試験では水温が 20 ℃を下回ると摂餌率や体重の増加率が鈍化した。無給餌が及ぼす影響は基礎代謝に大きく関わることが推察されるので、今後水温による影響に対して別途検討の余地がある。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8065&YEAR=2018 |
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