アマゴ稚魚放流の実施時期の検討

タイトル アマゴ稚魚放流の実施時期の検討
担当機関 岐阜県水産研究所
研究期間 2013~2017
研究担当者 岸 大弼
発行年度 2018
要約 アマゴの稚魚放流の適期を検討するため、春放流魚および秋放流魚との間で生残率を比較した。その結果、生残率は秋放流魚の方が高いものの、費用対効果の優劣は春放流および秋放流の種苗の単価によって変動することが示唆された。
背景・ねらい アマゴ等の稚魚放流の実施時期は、春(4~6月)と秋(9~11月)に大別される。例えば、岐阜県の漁協では春放流が、滋賀県の漁協では秋放流が一般的である。稚魚放流の実施時期が春および秋に大別された要因のひとつには、アユ漁の盛期(7~9月)との重複の回避が挙げられる。春放流と秋放流には、それぞれ長所・短所がある(表1)。春放流は、単価や尾数の面では有利だが、放流した稚魚が梅雨や台風の増水で流失するおそれがあるほか、アユの網漁などでの混獲される危険性がある。一方、春放流よりも大型の種苗を使用する秋放流は、単価や尾数の面では不利だが、台風シーズン後や禁漁期に実施するため、増水や混獲の危険性を回避することができる。このように春放流と秋放流は、それぞれ長所と短所があり、費用対効果の良否を判断することは困難である。そこでこの課題では、春放流と秋放流の実地試験を行い、漁獲対象サイズ(全長15cm以上)に到達する翌年夏の生残率および費用対効果を比較した。
成果の内容・特徴 調査は平成25~28年に計9河川(のべ11河川)で実施した。その結果、平均生残率は、春放流が3.12%、秋放流が5.39%であり、秋放流の方が高かった。ただし、放流の費用対効果については、種苗の単価に応じて優劣が変動することが示唆された。例えば、春放流の種苗の単価を18.9円/尾と想定した場合は、秋放流の種苗の単価が32.6円/尾以上の場合は春放流の方が費用対効果が高く、秋放流の種苗の単価が32.6円/尾以下の場合は秋放流の方が費用対効果が高くなると算定された。種苗の単価は、体サイズ、時期、地域、購入先によって変動すると考えられる。そこで、任意の単価から春放流および秋放流の費用対効果の優劣を判読できる早見図を作成した(図1)。
成果の活用面・留意点 前述したように、秋放流は、単価の面では不利だが、台風シーズン後や禁漁期に実施するため、増水や混獲の危険性を回避することができる(表1)。そのため、予算に余裕がある場合は、秋放流を選択するのが良いと考えられる。しかし、予算に余裕がない場合は、それぞれの地元の春放流および秋放流の種苗の単価を把握するとともに、費用対効果の優劣を確認して放流時期を判断することが望まれる。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8082&YEAR=2018
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