宍道湖におけるシジミ資源変動要因の解明とその結果を活用した生態系モデルの作成

タイトル 宍道湖におけるシジミ資源変動要因の解明とその結果を活用した生態系モデルの作成
担当機関 島根県水産技術センター
研究期間 2012~2017
研究担当者 勢村 均
向井哲也
若林英人
内田 浩
石田健次
岡本 満
発行年度 2018
要約 シジミの資源変動要因の解明のため、県内外の汽水域の環境及び生物の専門家で構成される宍道湖保全再生協議会を組織し、多くの研究者とともにシジミ資源急減の原因を検討した。その結果、ヤマトシジミ資源の増減は、湖の塩分変化によりシジミの餌である植物プランクトンの優占種が替わることが主因と考えられた。結果を基にシジミの餌環境の変化とヤマトシジミの成長を考慮した生態系モデルを作成した。
背景・ねらい 平成22~24年にかけて急減した宍道湖のヤマトシジミ資源量の減少要因を解明するとともに、ヤマトシジミ資源の維持・増加対策について検討する。また、餌環境の変化に応答するヤマトシジミの成長を考慮した生態系モデルを作成する。
成果の内容・特徴 1 ヤマトシジミ資源の増減(資源量は図1)は、湖の塩分によって優先する植物プランクトンの種類が変わることが主因と考えられた。平成22~24年にかけてヤマトシジミが急減した際は、宍道湖は低塩分(約4psu未満)であり、ラン藻類が優占していた。ヤマトシジミが増加した平成25年には湖は高塩分(6~8psu)となりラン藻の増殖率は低下し、優占種は珪藻類となった(図2)。 
2 飼育試験で確認したところ、浮遊幼生の成長速度、浮遊期間、着底率、着底後生残率の比較から、ヤマトシジミにとって珪藻の餌料価値が最も高いことが判明した。餌料がラン藻では浮遊幼生の成長速度が遅く浮遊期間が長いため、無効分散の危険性が高く、着底後の生残率も低かった。また、稚貝にアオコを形成するラン藻を給餌すると、ほとんど成長しなかった。また、成貝については、安定同位体分析からラン藻の同化率は低く、餌としての価値が低いことが明らかとなった。 
3 湖の塩分の差に起因する植物プランクトン優占種の違いをヤマトシジミの成長、資源量、漁獲量に及ぼす影響に組み込み、資源変動を予測するためのモデルを作成した(図3)。
成果の活用面・留意点 3で作成したモデルは、漁獲圧は考慮しておらず、そのことが正確な資源量予測を行うための残された課題となっている。このため、平成30年度からは漁獲実態を明らかにするための調査を開始し、本モデルを活用することで資源管理のための漁獲規制(上限漁獲量、殻長制限)の導入を可能として、シジミ生産量を安定させるとともに、漁獲サイズや漁獲時期の調整により生産金額を向上させるための漁獲管理モデルの作成を行う。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8133&YEAR=2018
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