タイラギ人工受精技術の開発

タイトル タイラギ人工受精技術の開発
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 増養殖研究所
研究期間 2016~2018
研究担当者 松本才絵
淡路雅彦
発行年度 2018
要約 タイラギ卵巣から取り出した卵をビタミンAの関連化合物であるレチノイン酸で処理することで人工受精が可能になることを発見した。この知見を基に孵化幼生を安定して大量に生産する人工受精技術を開発した。
背景・ねらい タイラギは貝柱が美味な大型の二枚貝である。近年資源量が激減し、漁獲量は最盛期の数十分の1であることから、人工種苗生産技術を開発し、生産された稚貝の漁場への放流や養殖を行うことで資源や生産量を復活させる取組みを進めている。種苗生産のために、確実に受精卵を得られる人工受精の技術開発が強く求められていた。
成果の内容・特徴 タイラギでは、十分に発達した卵巣から卵を取り出しても「卵成熟(減数分裂が進行して卵が受精可能な状態になること)」が起きておらず(図1左)人工受精は不可能だった。マガキやアコヤガイでは、卵を海水(あるいはアンモニアを少量添加した海水)に懸濁することで卵の成熟を誘起することができるが、タイラギでは効果がなかった。ホタテガイやマガキでは、セロトニンにより卵成熟を誘起できるがタイラギには効果がなかった。しかし、ビタミンAの関連物質であるレチノイン酸を作用させると、卵成熟が誘起され受精が可能な状態になる(図1右)ことを発見した(図2)。また、精子についても、親貝から取り出した精子にレチノイン酸を作用させると、その運動が非常に活発になることも発見した。これらの知見をもとに、タイラギの人工受精条件を最適化するとともに、作業工程を改善し、孵化幼生を安定して大量に得ることができる人工受精技術を開発した(図3)。
成果の活用面・留意点 卵成熟誘起に用いるレチノイン酸は安価な物質で、今回開発した技術は既存の種苗生産施設内で無理なく実施することができる。2018年8月には大分県農林水産研究指導センターの協力で、本技術を用いて得られた受精卵から孵化した幼生が着底稚貝まで生育することを確認した。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8135&YEAR=2018
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