タイトル | 浅海魚類の貧酸素化に対する動態解明調査事業 |
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担当機関 | 神奈川県水産技術センター |
研究期間 | 2013~2017 |
研究担当者 |
工藤孝浩 菊池康司 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 横浜港内では、夏期に貧酸素水塊が観測されている。一部の海域では、周囲から独立して貧酸素化することがあり、その場で貧酸素水塊が発生していると考えられた。港内の貧酸素水塊発生状況と底生魚類の採集状況から、調査対象とした「人工海浜」は一時的に、貧酸素水塊からの避難場所として機能していることが分かった。 |
背景・ねらい | 東京湾では貧酸素水塊による魚類への影響が懸念されており、魚類等が生き残るために貧酸素水塊からの避難場所を造るなどの検討が行われている。そこで、東京湾西部(横浜港内)の運河・水路部に造成された浅場において、周辺海域の貧酸素水塊の発生状況と、魚類の採集状況から、造成場所の避難場所としての機能を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 横浜港内の貧酸素水塊の発生状況の調査結果と、運河・水路部に造成された浅場、「人工干潟」および「砂だまり」において、魚類採集を実施し、貧酸素水塊の発生と底生魚類の行動について検討した。 横浜港内(図1)は、毎年7月から9月にかけて底層の広範囲で貧酸素水塊が観測されていた(図2)。浅場に造成された「砂だまり」では周辺海域から独立した貧酸素水塊が観測され、その場自身が貧酸素水塊の発生源であり、底層は7月から9月の間貧酸素化していた。一方「人工干潟」では、9月のみ底層の貧酸素化が観測された(図2)。 「人工海浜」における底生魚の採集数は、沖合海域が貧酸素化すると採集数が増える傾向がみられた(図3)。一方、「砂だまり」においては、沖合海域の貧酸素化による変化はなかった(図4)。このことから、「人工海浜」は貧酸素水塊からの避難場所となっていると考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 夏期の貧酸素水塊からの避難場所として、人工干潟等の造成は、有効であると考えられるが、その条件として、その場所自身が貧酸素水塊の発生源とならないよう、有機物の堆積等に留意する必要がある。また、潜堤等による沖合からの貧酸素水塊の侵入を防ぐような地形を考慮する必要があると考えられる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8144&YEAR=2018 |
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