タイトル | 三陸海岸における水深別のマコンブ生活年周期とキタムラサキウニの生殖腺指数 への影響 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 東北区水産研究所 |
研究期間 | 2015~2016 |
研究担当者 |
八谷光介 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 三陸海岸で優占するマコンブについて,水深6,9,12 m地点でその生活年周期を調べるとともに,各水深帯でキタムラサキウニの生殖腺の身入りを調べた。マコンブは3月に出現し7月まで急速に生長し,子嚢斑は9月から12月に形成された。マコンブの個体密度やバイオマスは年間を通じて浅い地点ほど高く,キタムラサキウニの生殖腺指数も,漁期を含む春から夏には,6,9 m地点のほうが12 m地点より高かった。 |
背景・ねらい | キタムラサキウニの身入りは,大形海藻の繁茂状況と対応しているといわれているが,三陸沿岸で水深別にそれらの対応関係を調べた事例はなかった。また,マコンブの生育も水深によって大きく異なっているものの,それらの状況を周年にわたり詳細に記録した事例も少なく,磯根漁場の基礎生産者であるマコンブの実態把握が求められていた。 |
成果の内容・特徴 | マコンブの全長(図1),重量,個体密度やバイオマスについて年間を通じて明らかにした。これらは,浅い地点ほど高くなる傾向があり,1年生マコンブが成熟・衰退していく秋季には,深い地点から先にマコンブ消失していくことが分かった。マコンブの重量は,水深6mでは7月に最大となり3.8kg/平米(乾重)に達した。個体密度は,3月には水深6mで約10,000個体/平米であったが,成熟期である秋季には数百個体/平米で推移した。 漁獲サイズであるキタムラサキウニ(殻径50~75mm)の生殖腺指数も6,9 m地点のほうが12 m地点より高かった(図2)。8~9月にかけて放卵放精により生殖腺指数が急激に減少した後,10~11月には残存したマコンブが餌料となり生殖腺指数は若干増加したが,それ以降はマコンブ群落も消失し,キタムラサキウニの生殖腺指数も一定であった。 三陸の1年生マコンブ群落は,春先の芽生え期の環境に起因する年変動が大きいが,本研究の結果はマコンブの繁茂年の実態を例示している。今後,マコンブが繁茂しない年のデータを収集し比較することによって,マコンブ資源の豊凶の変動幅や水深ごとの特徴が把握され,それらのデータとキタムラサキウニの生殖腺指数の変動を対応させることによって,磯根漁場の効率的な利用に資することができると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | マコンブの繁茂年については,周年のデータを得ることができたが,マコンブの不作年については,マコンブやキタムラサキウニの身入りがどれほど変動するのか不明であり,今後の調査が必要である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8151&YEAR=2018 |
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