タイトル | 大陸棚まで探査可能な低周波広帯域送受波器の開発 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 水産工学研究所 |
研究期間 | 2015~2017 |
研究担当者 |
澤田 浩一 今泉 智人 松裏 知彦 安部 幸樹 長谷川 浩平 赤松 友成 西森 靖 徳山 浩三 西山 義浩 村上 英司 三木 康 田所 正昭 甘糟和男 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 魚群探知機では、送信後に個々の魚から帰ってくる音波(単体エコー)から、魚量、体長、魚種の情報を得ているが,大陸棚に生息する魚の単体エコーを得ることは難しいというのが現状であった。今回、古野電気株式会社,東京海洋大学と共同研究機関を組み,フュージョン有限会社の協力を得て,従来の周波数38 kHzを含みながら、広帯域化させ,分解能を飛躍的に向上させた送受波器の開発に成功した。 |
背景・ねらい | 魚群探知機は送受波器から短時間連続した音波を送信し、海底や魚から帰ってくる音波(エコー)を受信して、水深、魚の量、体長、魚種の推定を行うことができます。一尾の魚から返ってくるエコーをターゲットストレングス(TS)と呼び,魚の分布密度、体長や魚種の推定にも使用される重要なパラメータです。しかし、深海にいる魚や群れとなっている魚の場合には、複数の魚のエコーが重なり合ったりして正確な情報を得ることができませんでした。今回、スケトウダラなどの資源調査で使われている一般的な周波数である38 kHzを中心周波数とし、従来よりも広帯域化した送受波器の開発に成功しました。これにより、大陸棚から斜面域にかけて分布する有用魚種のTS測定が可能になります。 |
成果の内容・特徴 | 2種類の送受波器を開発し、送受信できるようにしました。エコーによる識別能力が10 cm以下と、今までの1/4以下の高精度になりました。さらに受信部を工夫し、深海にいる個々の魚のエコーの測定を可能にするとともに、コストの削減にも成功しました。1種類の送受波器については、1台で3種類の異なる周波数を送信できます。水槽実験で標準球を用いて,指向性の測定,較正を行いました。図1に測定した標準球エコーの周波数特性を理論値と共に示します。周波数28 kHzから45 kHzの範囲で再現できていることがわかります。また,道東沖で調査船を用いた海上実験を行い、スケトウダラを含む複数種の魚のエコーを収録できました(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 調査が困難であった深海にいる個々の魚のTSが得られるようになりました。これにより、トロール調査ができない状況下でも、魚種と体長組成に関する情報収集が可能となります。1台で3周波の送受信が可能な 3 in 1タイプの送受波器を漁船に搭載すれば、省スペースかつ広い帯域でのエコーデータ取得が可能となり、将来、漁船を利用した資源管理手法につながることが期待されます。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8153&YEAR=2018 |
カテゴリ | コスト |