タイトル | 渓流用簡易魚道の開発 |
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担当機関 | 長野県水産試験場 |
研究期間 | 2013~2017 |
研究担当者 |
松澤峻 重倉基希 澤本良宏 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 堰堤による渓流魚の産卵遡上阻害緩和のため、堰堤に簡易魚道を設置し、実証試験を行った。その結果、5ヶ所設置した簡易魚道のうち4ヶ所でのべ57尾のイワナの遡上を確認し、高さ約3mの堰堤までであれば遡上させることができることを確認した。簡易魚道の作製に必要な材料費は76,000~83,000円、設置時間は1時間~1時間30分であった。 |
背景・ねらい | 渓流魚は産卵期になると川の上流や支流に遡上することが知られている。一方で渓流に設置されている砂防・治山堰堤には魚道が整備されていることは少なく、長野県水産試験場の調査で堰堤により渓流魚の遡上阻害が起きている可能性が示唆された。そこで、堰堤による渓流魚の産卵遡上阻害を緩和する技術として渓流用簡易魚道(以下、簡易魚道)の開発を行った。 |
成果の内容・特徴 | (1)簡易魚道の構造 構造は折り返し型とし、魚道本体の角度は30度以下とした(図1)。魚道内に隔壁を設置し、プールの創出と剥離流の発生を防ぐとともに、各プール部および越流部の流速を渓流魚が遡上可能な範囲に抑えた。隔壁の設置条件は交互配置、隔壁角度:45度、隔壁間隔:36cmとした(図2)。 (2)材料 簡易魚道の作製には、3/4に加工したコルゲート管(株式会社ヤマカミ社製)、フレキシブルダクト、隔壁用半円板、単管、クランプ、番線、P型U字溝を用いた。 (3)材料費および設置労力 簡易魚道作製にかかる材料費は76,000~83,000円程度であった。河川へ設置する際の作業人数および作業時間は2~3人で1時間~1時間30分であった。 (4)実証試験 簡易魚道の河川での実証試験は3河川5ヶ所の堰堤で行った。河川へ簡易魚道を設置する際には、事前に河川管理者へ「河川一時占用許可」を申請し、許可を得てから簡易魚道の設置を行った。 遡上効果を検証するため、各魚道上流端にタイムラプスカメラとトラップを設置し、遡上魚の確認を行った。タイムラプスカメラは8月10日から11月7日の期間設置し、確認したのべ遡上尾数は57尾であった(表1)。トラップは9月22日から11月7日の期間設置し、計11尾の遡上魚が採捕された。今回採捕された遡上魚はすべてイワナであり、サイズは全長19.3~32.9cmであった(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 簡易魚道の設置の際には河川一時占用許可の申請が必要である。(留意点) 支流において本流との合流点から最初の堰堤に簡易魚道を優先的に設置すれば、堰堤による産卵遡上阻害をより効率よく緩和させることができる。(活用面) 簡易魚道は内水面のサケ科魚類全般を対象とした利用が可能である。(活用面) |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8163&YEAR=2018 |
カテゴリ | 加工 |