タイトル | ニホンウナギのレプトセファルス(仔魚)期間の長さは遺伝する |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 増養殖研究所 |
研究期間 | 2016~2018 |
研究担当者 |
野村和晴 |
発行年度 | 2018 |
要約 | ・ニホンウナギの仔魚期間の長さが遺伝することを実験的に明らかにしました。 ・このことは選抜育種により仔魚期間を短縮した品種作出が可能であることを示しています。 ・育種により仔魚期を短縮することで人工種苗生産技術の早期実用化へ貢献することが期待されます。 |
背景・ねらい | 水産研究・教育機構では、2010年、人工生産したシラスウナギを親魚にまで育てて人為的に成熟させて人工第二世代を作り出すこと(完全養殖)に成功しましたが、大量生産技術は開発途上にあります。シラスウナギの大量生産を阻んでいる要因の一つとして、卵からふ化した仔魚(レプトセファルス)がシラスウナギに変態を始めるまでの期間(仔魚期間)が非常に長いことがあげられます。天然環境下では孵化後110-170日程度、人工飼育下では孵化後160-450日程度かかります。これまでは、主に飼育技術や初期餌料の改良によって、仔魚期間における飼育コストの低減や生存・成長率の向上に取り組んできましたが、全く別の研究アプローチも望まれていました。 |
成果の内容・特徴 | 今回我々は、ニホンウナギの大規模な交配試験と遺伝解析により、仔魚期間の長さが親から子に遺伝することを明らかにしました。このことは、選抜育種による遺伝的改良によって、従来よりも短い飼育期間でシラスウナギに変態する品種が作出できることを示しています。今回の研究過程で選抜された親候補ウナギを用いて、ニホンウナギの育種に取り組み始めました。早ければ2019年度に第一世代の仔魚が作出される予定です。その後は、毎世代で選抜と交配を繰り返し、徐々に遺伝的改良を積み重ねることで、10-15年後に仔魚期間を20-40%短縮した早期変態品種の作出を目指します。なお、この育種過程で得られる仔魚は、適宜、様々な試験研究に提供され、人工種苗生産技術の早期実用化へ貢献することが期待されます。 |
成果の活用面・留意点 | 現在、水産研究・教育機構では、今回作出した大規模な交配に由来する人工集団を用いて、仔魚期間を遺伝的に短縮した早期変態品種の開発を始めました。従来からの取り組みである1)安定採卵技術、2)仔魚飼育技術、3)飼料開発に加え、新たに4)育種を活用することにより、人工種苗生産技術の実用化が少しでも早く達成されることを期待しています。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8185&YEAR=2018 |
カテゴリ | 育種 コスト 飼育技術 品種 |