タイトル | 日本海におけるマダラ集団の境界探索 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 日本海区水産研究所 |
研究期間 | 2017~2017 |
研究担当者 |
佐久間啓 吉川茜 養松郁子 藤原邦浩 上田祐司 後藤常夫 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 日本海の重要底魚資源でありTAC制度の候補とされるマダラについて、日本海における集団の境界を、集団遺伝学的手法および分布調査により明らかにした。ミトコンドリアDNA部分塩基配列の分析、トロール調査における標本採集地点の分布、および沖合底びき網漁業の操業記録に基づく、マダラが多獲された操業地点の分布から、集団の境界は若狭湾西岸付近と推定された。 |
背景・ねらい | マダラは重要な底魚資源であり、TAC管理の候補種とされる。日本海では石川県~青森県を対象に資源評価が行われているが、福井県以西の日本海にもマダラは分布する。鳥取県以西と富山県以東のマダラは遺伝的に区別されるが、両者の境界にあたる山陰から能登半島西岸にかけての海域に分布するマダラの帰属は明確でない。そこで、集団の境界域を含む中部日本海におけるマダラの集団構造を遺伝学的手法および分布調査から明らかにすることを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 2017年の5月から2018年の3月にかけて、本州日本海沿岸の44定点においてマダラ175個体を採集し、ミトコンドリアDNAの部分配列(1,015塩基対)を決定した。また、7地点128個体分の配列データをデータベースから得た。計51点から得られた309配列を分析したところ、若狭湾西岸~隠岐周辺を分布の境界とする2集団の存在が示唆され(図1)、集団間には有意な遺伝的差異が認められた。また、日本海西部の延べ2,189地点におけるトロール調査結果(2003~2018年)に基づく、標本が採集された曳網地点の分布からは若狭湾西岸を境界とする2群が、沖合底びき網漁業の漁獲成績報告書に基づくマダラが多獲された操業の位置情報からは、若狭湾西岸および隠岐東岸を境界とする3群が、それぞれ示唆された(図2)。若狭湾西岸では、すべての分析において境界の存在が示唆され、集団の境界とするのが妥当と考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 資源評価対象種について集団遺伝学的知見に基づいた管理単位の設定が行われた事例は少ない。本研究の成果は、TAC管理の候補種とされるマダラの管理単位について、合意形成を図る上で重要な情報となる。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8192&YEAR=2018 |
カテゴリ | データベース |