脊椎骨の第1輪紋を利用したクロマグロのふ化海域の推定

タイトル 脊椎骨の第1輪紋を利用したクロマグロのふ化海域の推定
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 国際水産資源研究所
研究期間 2016~2017
研究担当者 植松幸希
石原大樹
平岡優子
田中庸介
下瀬 環
大下誠二
発行年度 2018
要約 日本海および南西諸島で漁獲されたクロマグロを材料として、尾部脊椎骨の第1輪紋までの半径組成からふ化海域(南西諸島と日本海)を推定した。半径組成には大小2つのモードが認められ,これらは南西諸島由来の個体と日本海由来の個体であることが示唆された。このことから、産卵場である南西諸島周辺海域と日本海には、両方の産卵場由来のクロマグロが混在して分布していることがわかった。
背景・ねらい クロマグロの産卵場は南西諸島周辺海域(5~6月)と日本海(7~8月)に形成されることが知られている。両海域では産卵時期が異なるため、当歳魚ではその体長組成の違いからどちらの産卵場由来なのかを識別することができるが、1歳魚以上になると識別が困難になる。本研究では、日本海および南西諸島で漁獲されたクロマグロを材料として、第34番目の尾部脊椎骨の第1輪紋(以降、第1輪と呼ぶ、図1)の形成時期および脊椎骨の中心から第1輪までの半径に着目し、ふ化海域の推定を試みた。
成果の内容・特徴 尾部脊椎骨の第1輪は2-3月に形成され始めることから、脊椎骨中心から第1輪までの半径は孵化後から第1輪形成までの成長期間の長さを反映すると考えられる。第1輪の半径からその形成時の尾叉長を逆算推定した結果、分析したすべての年齢(1歳から7歳以上)の尾叉長組成に2つのモードが認められた。当歳魚の尾叉長組成との対応から小さい方のモードは産卵期が遅い(7月~8月)日本海由来の個体、大きい方のモードは産卵期が早い(5月~6月)南西諸島由来の個体であることが示唆され、ふ化海域の識別が可能であると考えられた(図2)。日本海と南西海域で漁獲されたクロマグロの脊椎骨第1輪紋半径組成から、南西諸島周辺海域と日本海には、それぞれ両方の産卵場由来のクロマグロが混在して分布していることがわかった(図3)。
成果の活用面・留意点 本手法から、両産卵場には南西諸島、日本海生まれと推定されるクロマグロが混在していることが分かったため、本種の資源管理は産卵場単位ではなく、包括的な管理の必要性を示した。広い海域から様々な年齢やサイズのクロマグロを収集、分析することで、クロマグロ資源に対する両産卵場の貢献度を推定することが可能であると考えられた。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8197&YEAR=2018
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