タイトル | 御前崎沿岸域における直接測流 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 中央水産研究所 |
研究期間 | 2013~2017 |
研究担当者 |
日下彰 |
発行年度 | 2018 |
要約 | 御前崎沿岸域において直接測流観測を行った。2016年11月は,岸側に河川由来の低塩分水が分布し沖合水との間に塩分フロントが形成され、その付近を中心に強い西向流がみられた。2017年1月は、黒潮から派生した高温高塩分水が沖合側に分布することで,表層を中心に強い東向流がみられた。このように御前崎沿岸域では,水塊配置に応じて流れ場の構造が異なること示唆された。 |
背景・ねらい | 御前崎沿岸域は,我が国を代表するイワシ類シラス漁場である。イワシ類の卵やシラスは,遊泳能力が乏しいために受動的に移送されやすく,流れによって成育に最適な海域へ移動できるか否かがシラスの生残を大きく左右すると考えられるため,当該海域の流れ場の実態を明らかにすることは重要であるが,御前崎沿岸域ではこれまで直接測流観測がほとんど行われておらず,長年にわたって流れ場の実態は不明であった。そこで本研究では,御前崎沿岸域において,流速計を用いた直接測流観測を実施するとともに,水平的に高解像度な水温・塩分観測を行い,流れ場を駆動する背景場となる水塊構造を明らかにすることを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | ・潮流などの影響が大きいと考えられる御前崎沿岸域において、ADCPによる24時間50分4往復観測を行うことで、それらの影響を除去した平均的な流れ場の構造を把握した(図1)。 ・2016年11月は,岸側に低塩分水が分布することで沖合水との間に塩分前線が形成され、その付近に強い西向きの流れがみられた(図2)。2017年1月は、黒潮から派生した高温、高塩分の水が沖合側に分布し沖側の海面が高まることで,強い東向きの流れがみられた(図3)。 ・当該海域の流れ場の構造は、従来の広域流況図で描かれているような一様な流れ場ではなく,岸沿いに分布する沿岸河川系水や沖合から波及する黒潮系暖水など,そのときの海況に応じて複雑な構造を呈する可能性が示された。 |
成果の活用面・留意点 | ・イワシ類の資源変動の鍵となる初期生活史において、背景場となる流れ場の実態を明らかににすることにより,それらの資源の予測精度向上に繋げることが期待できる。 ・本研究の結果により、沿岸域における詳細な流れ場の実態の一端を示せたものの,当該海域の流れ場の全容を解明するためには,今後も継続して直接測流を行いデータを蓄積することが必要である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8212&YEAR=2018 |
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