イアコーンサイレージの給与は乳牛の夏季における乳生産性低下を緩和する

タイトル イアコーンサイレージの給与は乳牛の夏季における乳生産性低下を緩和する
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2016~2018
研究担当者 青木康浩
宮地慎
上田靖子
根本英子
多田慎吾
矢島昂
篠田優香
発行年度 2018
要約 飼料の栄養含量を変えずに配合飼料を節減した飼料設計でイアコーンサイレージ(ECS)を給与すると、305日乳量10,000kg水準の酪農家では、6月から9月におけるECS給与時の乳量低下が無給与時の約50%となる。ECS給与は、高泌乳牛の夏季の乳生産性低下を緩和する。
キーワード イアコーンサイレージ、夏季、泌乳成績、採食量、酪農家
背景・ねらい 飼料用トウモロコシの子実、芯と外皮のみを調製するイアコーンサイレージ(ECS)が北海道内を中心に普及しつつある。ECSを恒常的に給与する酪農家からは、嗜好性が良好で夏季でも採食量が低下せず、乳量・乳成分を損なわないという感想が聞かれる。そのような生産現場での評価を定量化することは、ECSの普及拡大上、重要な情報となる。一方で、酪農家における日々の管理作業の中で採食量を測定することは困難である。そこで、酪農家における乳用牛群能力検定成績(乳検成績)の解析に基づき、ECS給与が夏季における乳生産性低下を緩和する効果を生産現場での実態に基づき評価する。
成果の内容・特徴
  1. 2008年にECS利用を始め、2014年からECSを含むTMRを通年調製給与している北海道道北のTMRセンターでは、ECS給与量は年間を通じて1頭1日当たり概ね1~1.5kg(原物)とし、配合飼料を約2kg減らすとともに、牧草サイレージ、トウモロコシホールクロップサイレージの量を調整する飼料設計としている(図1)
  2. 当該センター利用酪農家のうち、305日乳量が平均10,000kgを超える3戸(経産牛70~80頭規模のつなぎ飼い2戸および同150頭規模のフリーストール1戸)では、一般的な傾向と同様に乳量、乳成分率が夏季(6~9月)は低下するが、ECS無給与期(2005~2007年)と通年給与期(2015・2016年)では、夏季の平均気温はほぼ等しいにもかかわらず(それぞれ18.0および17.6℃)(図2)、落ち込み程度が異なる。
  3. この落ち込み程度を示す「夏季低下指数」(図3)は、ECS給与期の方が無給与期より小さく、特に管理乳量(2産次、搾乳日数150日、4月分娩を基準とした固形分補正乳量)、脂肪補正乳量(乳脂肪率を4%として換算した乳量、FCM)では、約半分になる(図4)。
  4. 以上のように、ECS給与について経験的に認識されている夏季における乳生産性の維持・増進効果が、指数化による定量的な解析によって高泌乳牛群において確認され、ECS給与は夏季の乳生産性を改善する。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:自給飼料に関心のある酪農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:ECS利用可能地域。栽培面積は道内中心に全国で300ha。
  3. その他:北海道内の現地試験および所内試験における条件で得られた成果である。ECSにはバーボンウィスキー様の特有な芳香があり、そのため嗜好性が良いと経験的に認識されている。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2018/18_009.html
カテゴリ イアコーンサイレージ 飼料設計 飼料用作物 とうもろこし 乳牛

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